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連結器から、郷愁や旅情、そして熊の話

東北新幹線で19日、走行中の車両が分離する衝撃的なトラブルが起きた。
私にとって、はじめて聞く内容だ、と思った。
私は、おたくとまでは言わないが、鉄道が好きな人間だ。
大学時代までは「鉄道ファン」という雑誌を毎月読んでいた。

帰省するときは、必ず寝台列車に乗った。
長旅だったが、鉄道にゆられながらの旅は、私のせっかちな性分を和らげてくれた。
寝台列車の旅は、なぜか郷愁を覚える。
私は、郷愁を鉄道に求めていたのだろう。

いまや鉄道も高速時代だ。
郷愁などといっていられない。
東京まで、多くの地域が日帰り圏になった。
私のように郷愁などといっていれば笑われるだろう。
それでも寝台列車の旅が無性に恋しい。
一人の果てしない長旅だ。
旅情という言葉そのものだった。
いつも郷愁とともに心も揺れていた。

今、故郷へ帰らなくなった。
いくつか理由がある。
両親が亡くなり、実家もないからだ。
また、飛行機に乗ることが嫌いなこともある。
新幹線には風情がない。
とくに東京から大阪までは仕事の延長のような景色だ。
乗る気がおこらない。
寝台列車などという遅くて運行効率が悪い列車は不要な社会だ。
長距離の高速バスはにぎわっているようだが、郷愁や旅情を誘うなどという錆びた爺が好む鉄道の旅は、どこかへ消えていってしまった。

東北新幹線は、仕事以外に縁がなかった。
寝台列車につけられていた「はやぶさ」にはよく乗車したが、それが今では新幹線の名前だ。
ずいぶん出世したものだ。
そんな寝台列車と名前の縁がある東北新幹線のはやぶさとこまちの連結器が高速走行中に外れるという事故(故障)が起きた。
走行中の新幹線の連結器が外れたなど、前代未聞だろう。
映画のような話だ。
別に新幹線だけではないが、鉄道関係の事故や故障が多くなっている、と思ってしまう。
鉄道だけではない。
この国は、いろいろなものが古びてきたようだ。
みな計画という名のもとに懸命に努力しているのだろう。

このような問題は、人身事故という大きな問題(大事故)にぶつかるまで続くだろう。
人身事故にならなければ、いろいろな言い訳がたつ社会だ。
それで人間社会はまわっている。
社会とはそういうものだろう。
私は新幹線もあまり好きではない。
旅情を感じさせないからだ。
在来線の特急か、普通列車での旅のほうがよい。
体がゆっくりと揺られながらゆく旅は心地よい。

マギーがいなければ、在来線の旅を楽しむだろうが、命とともに暮らすとは自分一人ではない。
毎年、自ら安全運転しながら車で次男のところへいくことが、今は一番の楽しみだ。
マギーもいっしょになって喜んでくれる。
これがよい。
温泉がたくさんある。
そばもうまい。

しかし、今年は次男が住むエリアでも熊が出没している。
新幹線に限らず、いろいろな課題(問題)がある社会になってきた。
それでも、社会は何事もなかったように進んでいく。
そのように進まざるを得ない社会になってきた。

新幹線には乗らいないが、車と高速道路は利用させてもらっている。
ここでも問題が発生しないことを祈るばかりだ。
次男が住む地域には、サルが出没するが、今年は熊にも注意しよう。
人口は減っているが、熊は、保護政策や狩猟者の減少で増えているそうだ。
それが今の社会らしい。。。
どこへ行っても危険と隣り合わせの時代なのだということを覚悟しておくしかない。

新幹線の連結器から、郷愁や旅情、そして熊の話にまで飛んでしまった。
私は、どうも今の社会に不満があるらしい。
新幹線の連結器が外れたことから自分の憂さを晴らしているようだ。
いつまでたっても、社会と折り合いをつけることを知らないしょうがない爺だ。

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