【第1回インタビュー】自閉症のAくん×クライミング
第1回目のインタビューは、知的障害を伴う自閉症のお子さん(Aくん)のお母さんにインタビューさせていただきました。(2023年12月オンラインにて実施)
聞き手:モンキーマジック木本(木本)
話し手:Aくんのお母さん(A母)
木本:モンキーマジックで開催している「マンデーマジック」に、Aくんが初めて参加してくれた時のことを今でも覚えています。懐かしいです。
A母:あの時は小学校3年生でした。今は中学校1年生になっています!
でも、中学校から帰りが遅くなったので、夏休みとかしか参加できてないんです。
木本:そうでしたかぁ。でも少しでもクライミング続けてくれているのが嬉しいです。
※木本は現在マンデーマジックの担当ではなくなり、A母とお話するのはしばらくぶりでした。
◾️クライミングを始めたきっかけ
木本:では、早速ですがAくんが「マンデーマジックのクライミングイベントに参加してみよう」となったきっかけを教えてください。
A母:幼稚園の頃、幼稚園の中で体操教室がありました。小学校にあがっても行くつもりだったのですが、一斉指示が通らなくてやんわり断られてしまい、運動するところがなくなってしまって...
高い所に登るのが好きだったから、ボルダリングとかいいかと思って、近くのジムを探して体験してみました。
でも、ルールを守ってできる感じではなく「大人も来るところなので、難しいかもしれない」と言われてしまいました。
そこで、ネットで検索していたら、モンキーマジックのホームページに出会いました。場所もどうにか行けるかも。「子どもでも大丈夫かなぁ」と心配ではあったのですが、ダメだったらそれでいいと思い、まずは申し込みました。
木本:そうでしたかぁ。「やんわり断られる系」はよく耳にしますが、「やんわり」も心が痛みますよね。。。
◾️モンキーマジックのイベントに参加した印象
木本:モンキーマジックでのクライミングに触れていただき、Aくんの様子やお母さん自身どうでしたか?
A母:最初の印象は、初めての場所だったので(私が)緊張したんですけど、笑顔で迎えてもらって安心しました。
ルールが分からないけれど、自由に登らせてもらえたのがよかったです。
Aの反応は、楽しそうでしたね。そして汗だくでした。
何回も通っているうちに、前回よりもスムーズに、上まで登れるようになっていきました。
色を守るとかはないけれど、「難しいし、それ無理でしょ!」と私が思うものにも挑戦する姿が見られるようになりました。
イライラしながらそれでも頑張っている。。。諦めないで登るのは、登っているのが好きだからだと思います。
木本:私もいつもAくん汗だくになるまで頑張ってくれている印象あります!
A母:Aは運動量がどうしても普通の子どもより少なくなってしまいます。
普段は、学校で運動するくらいで、外で友達と遊ぶとかはせず、帰ってきちゃう。
ただ、身体を動かすのがあんまり好きではないけど、ジャンプとか登ったりは好きなんです。
運動系の療育は行っていたんですけど、時間帯が間に合わないのと。。。もともとイヤイヤ行っていました。
できる限りのことはやろうと、月に2回行っているパーソナルレッスンも室内で、汗をかくこともないんですが、クライミングとトランポリンでは大汗かいています。
◾️モンキーマジックのイベントに参加して良かったこと
木本:クライミングイベントに参加してよかったことはありますか?
A母:大人の参加者が多いので、みなさんが「前回も来てたよね!」みたいに声をかけてくれたことが嬉しかったです。
顔を覚えてもらえて、仲間としてマンデーマジックの仲間入りができたのかな、と思えたのが嬉しかったです。
また、大人になったらAもイベントの後の懇親会にも参加できたらなと。
夜の集まりとか大人になっても友達と飲みに行くとかなかなかないので、そういう経験も大切かなぁと思っています。
木本:Aくんと乾杯できるの、それ最高ですね!私たちもそれ目指して頑張って続けてきますので!
そして、「仲間入りできた」と感じてくれて嬉しいです。
マンデーマジックは、ボランティアスタッフの方や参加者の方のお陰様で、クライミングを通じた温かいコミュニティになっていると思っているのですが、それを感じてくれているのがとても嬉しく思いました。
◾️発達障害児者のクライミング機会に求めること
木本:発達障害のあるお子さんをお持ちのお母さん代表になった気持ちで、クライミングに関してどんなサポートや環境があると嬉しいか教えてください。
A母:自由に登らせていただけると、嬉しいですね。
ルールを守ってが難しいので。
ただ、危険なことのルールや人が登っている時はマットに登らないとかの最低限のルールは守りつつ、自由に登らせてもらえるといいかなぁと思います。
最低限のルールは保護者がそこは止めたりとか、見守れるかと思います。
木本:なるほど。では、障害のある子ウエルカムで、「安全を守りながらルールを守らなくても自由に登れるような、お互い様ですよ」の日があったら嬉しいですか?
A母:ん~、それも難しいかも。
周りに人がいると、危険なことをするんじゃなかいかとヒヤヒヤするし、Aは子どもの高い声が苦手なんです。
マンデーマジックのように初心者壁を単独で使えるとかが穏やかでいいです。
少人数で区切ってできると安心できると思いました。
木本:なるほど~。「お互い様の日」はいい案だと思っていたのですが、聞いてみて納得です。「区切って」や「少人数」はいいですね。
◾️発達障害児者のクライミング機会拡大に向けて
木本:最後に、モンキーマジックでは発達障害の方たちにクライミングの機会を広げてきたいと思っているのですが、発達障害のどんな子たちにクライミングはあっていると感じますか?
A母:どうなんだろう。。。多動の子ですかね。
Aも多動が入っているんですけど、多動のある子は体力を使った方が落ち着いたりするので。ジャングルジムのようなものに登るのが好きな子や高いところが好きな子にもあってると思います。あとは、個人競技なのがいいと思います。
◾️まとめ
今回のインタビューを通して【発達障害×クライミング】の可能性として、3つの視点から考察してみました。
身体的利点→運動の機会、しかも大汗かいての全身運動!
精神的利点→楽しい!イライラすることもあっても諦めずにやり切る力や達成感にもなっている(かも)。好きなことをやれるという満足感にもなっているんだろうなぁと思いました。
社会的利点→一人でもやれる。でも同じクライミング好きとの関りが拡がる。応援される、声をかけてもらう、など「仲間」がいる場所になる。子ども同士の関りが難しい場合でも、大人の人のいる中で一緒に楽しめるのもクライミングならではだと感じました。イベント後の懇親会(乾杯!)参加も、実は貴重な場の可能性も見過ごせません!
上記の「汗をかく機会」にしても「やり切る機会」や「仲間になる機会」にしても、機会が少なくなりがちなのが発達障害の子たち。クライミングとの相性がよければクライミングは大きな「機会」になり得るんだなぁ、しかも「楽しみながら!」が強みだなぁとインタビューを終えて感じました。やる気になります!
A君のお母さま、インタビューのご協力、ありがとうございました。
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