立春に向けて・破壊と再生 〜木曜の教室から
毎週木曜、「京の気功入門」は天野の唯一の定例教室です。
初めての方も長く通う方も、毎週同じ流れで、安心して自分に集中されています。お話から加筆訂正。
2024.2/1 天野泰司 (NPO法人運営責任者)
破壊と再生
節分を過ぎると立春、もうすぐ春。
今年は、春に入っていくのが早い。そのためにいろんな反動がたくさん出てきている。年末頃から、怪我をしたり、体を壊す人が多い。
骨折などの相談を受けては「じゃあ、次はこうしてください」などというやりとりを何度もしている。
これは、体のなかに「壊してはまた元気にしていこう」という「破壊と再生」のような働きが起こっているから。
前号の会報『気功生活』139号にも書いたが、「壊せば立て直すことが容易になる」という面があって、思わず壊してしまう。しかし必要以上に壊したら勿体ない。
何もしなくても、体は、春に向けて「溜まった思いや疲労をほどいて、新しい気持ちでゼロから組み立てていきたい」と思っている。そういう時期。
丁寧に体と向き合う
誕生の季節、立春の頃は、生まれる時のように、できるだけ丁寧に繊細な感覚でからだと向き合う。
ただ、いまとても辛い、大変な状況で、壁にぶちあたっている時は、無意識にまずその壁を崩して状況を変えていこうとする。そういう働きがどうしても起こってきて、だから怪我や大きな病気が多くなる。
壁を突破するチャンスではあるので、もし怪我や病気をされている方はこのタイミングに全部切り替えてやっていこう、という気持ちで取り組んで、体に丁寧に向き合っていただいたらと思う。
特に大きな病気や怪我などに出会わないのも良い、その場合は、内側から体が変化する感覚がでてくる。どんな感覚か。
まず、あたまがぽかーん、ポーッとしてくる。それも怪我の多い原因ではあるが、これが春の変化の第一。
1月は後頭骨、後頭部の骨がふわっと浮かんでひらいてくる。開いていないときは頭痛、首の違和感、肩こり、目の疲れなどが出やすい。その時は違和感と向き合いながら、少しでも楽にしようとしていると、まただんだんに変化してくる。
2月からは肩甲骨が焦点、羽が生えたようにふわっと軽く、広がる。軽くなりにくいと、鼻がグズグス、目がしわしわ、花粉症的な症状や肩、首のコリやつかえた感じが出てきやすい。
→花粉症については『季節をめぐる気功』天野泰司・春秋社 p.38-39を。
季節に沿ってそのリズムを感じていると、ひとつひとつの症状を一生懸命に解決しなくていいようになっていく。季節にあわせて、体にとって必要なことをやっていくと、スムーズに変化する。
3月は骨盤が開いてくる。女性は骨盤の開閉運動が大きいのでわかりやすいと思うが、骨盤が開いていく時はリラックスへ、閉じていく時は集中の方向へに向かうので、3月は緊張が抜けやすくなる時。
出産はいちばん大きく骨盤が開く時。全てを受け容れられる許容量が生まれて、いい状態で大きな変わり目を過ごせる、体はそのようにできている。
それに近い状態が、春。男女問わずみんなに、幸せに包まれるような感覚、全てを受け容れられるような心地よさが生まれてきやすい。その感覚は大切、一年の資本をつくる時期。
「幸せな感覚」は、何かを得たからという訳ではなく、身体の中に幸せを感じる状態を作っていくことが大事。幸福感を春に味わっておくと、骨盤が閉じていくような時期にも、幸せが集まってきやすくなる。
2月から4月は、幸せの貯金を作っていく時期。リラックスして、体の気持ちよさに素直に過ごして。大変な時もなるべく気持ちよさを大事に。
気功をする時も、体の気持ちよさ、微笑みが湧いてくるような感じで。
実習・立って動く
・・参考 肩の荷がおりる気功
水を飲む
春のお彼岸までは、水を飲むことを心がけて。
空気が乾燥し、空調も入る。水が足りなくなると動きがカクカクして、つまづいたりころんだり、つい大きな動きになって怪我の原因のひとつになったりする。いつもはすらすらといくのにそうならない、そんな兆候が出てきたら、水分を補うこと。
いっぺんにたくさん飲むのでなく、こまめに口にする。
汗をかいているつもりでなくても、空気は乾燥しているし、こうして暖かい空調の風が循環している中で動くと、汗が奪われていく。その分の水を補給すると、体が吸収してくれる。いっぺんに多く飲むと、捨てようとする。
「水が飲みたいな」と思った時に飲めるように、持っておくこと。外出時、朝起きた時、風呂上がりにも。
皮膚からも水は吸収される。今の季節は、顔や手に水をつけるのもよい。ある程度水の補給ができる。化粧水なども、吸収されても良いものを。
生水は吸収されやすい。分子結合の状態が細かくきれいな結びつき方をしている水は、吸収が良い。例えば、とても小さい穴から出した水は細かい粒子になり、分子が細かく吸収しやすい。そんなシャワーヘッドで肌にあてるとしっとり感が高い。
天然水は地下などを通ってくる間に、自ら細かく、いい状態の分子になっていく。そうすると細胞に吸収されやすく、身になる水になる。
お茶やコーヒーは利尿作用が強いので、後に水を飲むと吸収されやすい。
立春の頃は、骨盤をゆるめる、つまり頭をポカンとして肩を楽にし、気分をほがらかにしていく。そして、水を飲むことで変化がスムーズに。
ポカンとするのが難しい時は、「心が落ち着くやさしい気功」がよい。
今年は元旦から地震や事故、政治的なお金の裏側の動きなど、心のトーンが下がりやすいことが続いた。がっかりした時、体が波に乗っていきにくい時は、その都度、体を楽にし心をほどいて。
習慣になるとすっと抜けやすくなる。