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自然回帰・原点回帰

「暑さ寒さも彼岸まで」

もうすぐお彼岸です。子どもの頃から、お彼岸はお墓参りが当たり前でした。幼い頃は訳もわからずお墓に手を合わせていました。成長するに従いどこか心が安心する場所になっていきました。父を送り、今年母を送り、今まで父に語りかけていたお墓は、両親が揃い、私の話を聞いてくれる場となりました。お墓までは、車で行ったり、上野や入谷、最近では新御徒町から歩いて行きます。墓参りの帰りは浅草まで散歩し、風情を楽しんでいます。こうした立地条件ですので、悩みがあると父のお墓に行ったものです。彼岸が過ぎると暑さも遠のき、物思う秋、そして暮れに向かい社会も私も慌ただしくなります。

教育改革が進み、私も新たな教育の方向性を改めて見つめ直しています。その中で、教育の原点を見つめ直していると、私達は、子どもも含め物事の本質について大分遠ざかった生活をしているように思いました。私が子どもの頃よく聞いたことば「社会の為に」「人の為に」「家族の為に」「子どもの為に」「友達の為に」「大切な人の為に」とした二人称、三人称が、「自分の為に」という「一人称」に変わって来たのではないかと思うのです。人と人の関係に人称はとても大切です。

 世の中の多様性に準じ、人々の考え方も多種多様です。何度かお話しをした「人間の本能:脳の本能」、この本のに反した「自分の為に」という行動や意識が次第に行き詰まっているように感じます。どこかおかしいと感じ始めた人達がまず目指すのは自然回帰です。そして、原点回帰と言うことになります。

教育も同じだと思います。人間らしさを追求するには、やはり脳の本能に沿うべきだと思います。自然回帰・原点回帰は、教育に従事する者として特に重要視する事なのです。私自身、教育に行き詰まり悩むときに必ず読む本があります。教育は、特に幼児教育は何故必要なのか、勿論、発達心理学、認知心理学、脳科学、教育書は手放せません。しかし、私が大切にするのは教育に対する哲学です。教育に対し真摯に向き合った先人達の哲学です。それは、水野茂一先生であり、七田眞先生であり、教育の師である森信三先生です。また、古くは吉田松陰です。

 昨日、訃報が届きました。かつて幼児教育の二大巨頭である水野茂一先生、七田眞先生を引き合わせ、幼稚園、保育園の教育改革をされた、総合幼児教育研究会発足の立役者であるパドマ幼稚園の秋田光茂先生がお亡くなりになりました。幼児教育の可能性を、そして幼稚園・保育園のあり方を変えた先生です。新たな教育の波は、悲願であった幼児教育に向けられています。人の成長の土台を作る幼児期にようやく光があてられました。それには、こうした大先輩の先生方の功績があればこそです。

 幼児教育の発展にご尽力された パドマ幼稚園 秋田光茂先生のご冥福を心からお祈り申し上げます。      

合掌

2014/9/18


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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