学習の集中力
「短い時間のパッチワーク」
子ども達の能力低下の一因として「集中力欠如」が上げられます。人の集中力は脳が司っていると言われています。そして、脳は、集中するために、複合化された意識を一つに集約する働きを担います。また、脳は、興味のあるものにより意識を集めます。物事に集中する、一見当たり前の様な人の行動ですが、実は様々な要素が結びついているようです。
学習に必要な集中力を具体的にあげるとどのような内容になるでしょうか。一口に集中力と言っても、場面場面で違いがあると思います。
「聞く」聴覚的集中・思考的集中
「見る」視覚的集中・思考的集中
「書く」思考的集中・視覚的集中・運動的集中
「読む」視覚的集中・思考的集中
「解く」思考的集中(具体的思考・抽象的思考)
「話す」聴覚的集中・思考的集中・運動的集中
以上の中で全てに含まれている要素が「思考的集中」です。そして、この思考的集中に欠かせない力が「語彙力」です。思考の源である語彙は、人の話を理解する力を併せ持っているので、人の話を聞くことができると言えます。つまり、話している相手の内容がまったく理解出来なければ、人は集中して聞くことはできません。こうして分析していくと、学習活動に於ける集中力の源は「語彙」にあることが解ります。
「人の話しを聞く」簡単そうに思える日常の行為ですが、殆どが「聞こえている」に過ぎないことがあります。どうも「聞き流し」が多いようです。親子間でもこうした状況は数多く見て取れます。どれだけ互いの話に耳を傾けているのか思い返してみて下さい。「我が子に集中力を付けたい」と真剣に考えるのであれば、我が子の話しを聞いて上げる、当たり前の親子関係を築くべきでしょう。
「見る」という行為も同じです。会話の中で相手の目を見て話し、聞くことから自然と「意識して見る」ことを覚えます。人は見ているようで見ていません。そこに「意識」というものが働かなければ見る事さえ曖昧なものとなってしまいます。集中に必要な「見る」「聞く」という要素は、高い意識があればあるほど高度な集中力を産みます。意識とか意欲は、学習能力を高める力として、人間力とも言い換えることができるでしょう。
人が集中できる時間は短く、その短い集中時間をつなぎ合わせて集中力を保っています。それは、まるでパッチワークのようです。秒単位の集中力は、例えば、授業では、先生の説明と問題認識から思考が始まり、集中できうる時間となります。この時、受ける教科に苦手意識や好き嫌いという感情が加わった瞬間、「聞く耳」から「聞かぬ耳」へと変化します。つまり情報の遮断生じてしまうのです。情報の遮断は、最初の「聞く」所から始まってしまいます。また、環境が変わると集中時間にも変化が生じます。適度に与えられる「緊張」というものが集中を高めたりします。人の話を聞いていてよくあるのは、話しの中に出てきたことばや刺激から、まったく別のことを想像してしまう意識の変化です。この時の脳は、人の話は聞こえてはいるが意識していない状態を示します。情報の垂れ流し状態です。映画でも、二度見てみると解ります。観ているようで観ていないことを認識するはずです。こうしたことは、記憶にも変化をもたらします。情報が垂れ流し状態にあるとき、重要な項目でも記憶されません。集中と記憶は密接な関係にあります。
授業では、子ども達の意識を集中させるために様々な指導が行われます。フラッシュカード、音読、素読、書写、聴写などの指導は集中や記憶と密接な繋がりを持ち合わせています。これらは、人の意識の向けさせ方、意識の高揚などを念頭に置いた指導法です。集中力を高めるには、語彙力を付けることが一番大切です。また、健康的な日常生活をおくることも見逃せません。早寝早起き、十分な睡眠、バランスの良い食事は必須条件でしょう。ジュースなどの清涼飲料水は極力避けてできるなら水が一番です。もう一つ、躾けの重要性も付け加えておきます。
2014/9/22
著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫
石川先生監修!
幼児教室・学習塾のキッズスクールアップル富ヶ谷
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