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作られる障がい児「独り言」②

「子どもを見る」

人は生まれたときは平等だと言われるが、脳障害や染色体異常などで生まれた場合は当初からハンデを負うことになる。何度かこのブログでも申し上げてきたが、長男の誕生時のアクシデントから、私は小児医療センターで様々な事例に遭遇した。幸いにも長男は低体重児と言うことと4月1日産まれという事以外に身体には問題がなかった。赤ちゃんは、脳障害や神経障害などの問題がない場合、平均して140~150億という脳細胞を持って生まれてくる。その後、3歳までに脳細胞の脳内配線(いわゆる脳神経の発達)は60%に達し、6歳では80%を超えるほどに発達していく。大脳科学のこの報告が幼児教育推進に大きく影響している。既に、こうした報告以上に、幼児教育の必要性は十分社会に浸透している。

子ども達の置かれている状況は、テクノロジーの急激な発達に反比例し、多くの場合、「言語性」「コミュニケーション」「思考力」「感覚器官」などの低下が顕著に表れている。更に付け加えるならば、新たな三無主義時代(無関心・無気力・無責任)を迎え、その影響は子どもなど、弱者におおく見られる。特に学力の二極化は深刻で、学力に遅れを持つ子どもが増加していることは既に承知の通りだ。通常の学力の遅れは障がいではない。しかし、学力の遅滞は本質的に障がいとは異なるものの、本人にとって学校生活や人間関係などに大きな影響を与えていることも事実だ。子どもの学力は、低学年の学習に大きく左右される。誰もが平等に与えられた脳細胞、それが、たかが十年あまりで何故大きな学力差を生むのだろうか。

 学力は学習量に比例することは誰もが知っている。学習量というのはあまりにも抽象的だが、机上のものだけでなく、家庭内の手伝いや、家庭内の会話、地域の子供会などの参加、遊び、読書なども含まれる。しかし、保護者が、子どもの学力に疑問を感じたらその時はかなり深刻な状況であることを認識した方が良いだろう。例えば、低学年で「引き算」で躓いていれば、間違いなく「足し算」の学習に問題がある。その後繰り上がり、繰り下がりで躓くことになる。「割り算」で問題が生じた場合は、当然だが「かけ算」の習得が出来ていない。かけ算九九が正しく言えるか、直ぐに答えがでてくるかを確かめる必要がある。「この程度なら」という見方が一番怖い。また、計算を、指を使って行っている場合も同様だ。これらの学習は全て低学年に履修する内容ばかりであることに注目して貰いたい。そして学力低下が表面化する場合、その殆どが算数に表れる。というより外から見て算数は学力の低下が発見しやすやすい。小学3年生になると学力の低下は「劣等意識」として、子どもの心に深く根ざしてしまう。この劣等意識がその後の「やる気」を削ぐ結果となる。そして、物事に対しては「自信が持てない」「消極的」「自分に対し否定的」という心的状況を表面化させる。(算数の学力低下は、背景に理解力という国語面の学力が問題であることも考えられる。「先生の話しを聞けない。」という面も要因となるだろう。(※「話しを聞けない」という状況は、学習活動に於いて「致命的」な要素でもある。原因に「語彙数の不足」も考えられる。)

こうした子どもの状態を「障がい」とは言えない。子ども達の行動、学習、遊び全てに目を配る。特に幼児から小学生低学年の間はしっかりと見ておく必要がある。人生、全ての基本は幼児期から低学年のおよそ10年間である。後からの修正は手間も、時間も、費用もかかり、それ以上に親にとって心の負担はとても大きなものになる。つまり、先天的な障がいであれば誰の目にも見て判断がつく。しかし、健常児の場合、障がい者に対して放って置かれるケースが目立つ。学力の著しい低下は、幼い子どもの心を徐々に破壊していく。それは、時に暴力として表面化する。学力の二極化の中で苦しむ子ども達は、「作られた障がい児」と言えるのかも知れない。

 以前は、「感覚教育」の中で、感覚の不統合からくる「作られる障がい児」についてお伝えした。今回の問題は「学力」、今からでも遅くはない。学習の見直しは、早ければ早いほど修正が容易い。子ども達の学習状況を是非見直して貰いたい。

2014/9/14


著:石川教育研究所 代表 石川 幸夫

石川教育研究所 代表 石川 幸夫

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