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なるほどクラック vol.5 〜子ども支援の現状とCLACK〜

vol.5では、「子どもの貧困」という課題に対して、現在どんな解決策が民間で行われていて、そしてCLACKはその中でどんな役割を担おうとしているのかについて綴ります。


前回の振り返り

前回の記事では、「家庭の経済的余裕がなくなると、親の精神的余裕がなくなっていき、悪循環となっていきやすい。めぐりめぐって子どもの学力低下や機会・関係性・知識の不足に繋がっていく」という結論でした。

こうした状況に対し、「子ども支援」という領域では現在どのような取り組みがされているのでしょうか。CLACKの現場や、他団体の方にお話を聞いてきた中で、魅力に感じた取り組みをいくつかご紹介します。

子ども食堂

子ども食堂については耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
「認定NPO法人 全国子ども食堂支援センターむすびえ」によると、次のような説明がされています。

「こども食堂」とは、子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂です。「地域食堂」「みんな食堂」という名称のところもあります。こども食堂は民間発の自主的・自発的な取組みです。しかし、それゆえ運営を支援する公的な制度などが整備されていないにもかかわらず、こども食堂の数は増加の一途をたどっています。
今年度最新の調査では、こども食堂は全国に少なくとも 9,131 箇所となり全国の公立中学校と義務教育学校の数を合わせた9,296箇所とほぼ並ぶ結果となりました。

民間の自主的な活動に関わらず全国9,131か所にまで広がっています。


こども宅食

子どもの貧困は、特に子どもが低年齢であるほど親の貧困でもあります。そのため、親に対しての支援も重要です。「こども宅食」は、そうした背景から複数のNPOや企業が共同で支援を行なっています。2022年度は、年間のべ4,702世帯に食品が届けられました。

こども宅食では、生活の厳しい子どもの家に、定期的に食品を届けます。
そして、食品のお届けをきっかけにつながりをつくり、見守りながら、食品以外の様々な支援にもつなぎます。

こども宅食応援団WEBサイトより

利用者がLINEで気軽に申し込めるため、これまで行政の支援情報が届かなかったり、情報を知っていても申請が複雑で利用できなかった層にも届きやすいことが特徴です。

また、単に食事を渡すだけでなく、利用者の方と少しずつ関係性を築いていくことで、必要としている福祉の支援を紹介していくことも目的としています。

無料学習支援

経済的な理由から学習塾に通えない子どもに対して、無料で学習支援を提供する取り組みです。学習支援の目的は単に学力向上のみではありません。生活支援や自己肯定感の向上、ソーシャルスキルの獲得など様々な役割を担っています。

年々実施されている地域は増えており、自治体からの民間委託のものだけでも、令和3年度時点で64%の自治体で実施されています。

また、各地域のボランティアの方が無料塾を立ち上げるケースもどんどん増えています。

その他の子ども支援の取り組み

他にも、様々な子ども支援の取り組みがあります。
・低所得世帯の子どもたちに「第三の居場所」として学童を全国100カ所に設置し、子どもたちの自立する力を育む居場所づくりを目指す「子どもの家」
・主に生活困窮家庭の中学生に、塾や習い事のみに使える金券を渡し、他の子どもとの機会格差を減らす「スタディクーポン」
・様々な悩みを抱える10代がチャットで気軽に相談できる場としての「LINE 相談」
・高校の中に「第三の居場所」となるカフェを設置し、中退予防や文化的経験を届ける「校内居場所カフェ」

などなど様々な支援が全国各地で増えてきています。

それでも足りない子ども支援

確かに子ども支援は少しずつですが確実に、増えていっています。
しかし、まだまだ「必要な子どもに」「必要なタイミングで」「必要な支援を届ける」ことはできていると言えません。

お金も人の資源も限られている中で、より効果的な支援の検討は非常に重要です。しっかり現状と向き合った上で、どこに注力するかを考える必要があります。

中高生支援の大切さ

特に現在は、なるべく早い年齢で支援した方が効果が高いという研究から、低年齢向け支援(早期支援)が広がってきています。早期支援は非常に重要ですが、情報がうまく届かなかったり、参加までの心理的ハードルが高い等の理由から、どうしても支援をうまく活用できない世帯があります。

また、中学・高校に通っているときに、親の失業や離婚などにより生活困窮や低所得に陥ってしまう家庭も少なくありません。いきなり家庭環境が変わった家庭が、すぐに支援にたどり着くのも難しいといえます。

さらに、特に高校生は義務教育課程でなくなることもあり、より一層支援が届きづらい年齢層となります。未成年のため、主に成人期を対象とした就労支援の枠にも入りづらくなっています。

そうした境遇の中高生に対しても、在学中の支援を充実させていくことは彼らが希望を持って生きていくために大切な役割を担うと考えています。
特に、上述したとおり衣食住の支援は増えているものの、子どもたち自身が経済的・精神的に自立し、貧困の連鎖から抜け出すための支援が、中高生年代には必要となっています。

中高生支援で重要な3つの要素

こうした課題感のもとで、中高生を支援するには3つの重要な要素があると考えています。

①中高生自身がその支援を利用したいと思えること
②前回の記事にある3つの不足(機会、関係性、知識)を補えること
③社会で求められるスキルを身につけ、お金を稼ぐことができるようになれること

CLACKの「自走支援モデル」で行っている「デジタルを活用した居場所」や「プログラミング学習支援・キャリア教育」は、これら①〜③の要素全てを含んでいます。

まとめと次回予告

CLACKでは、現状の子ども支援から漏れてしまう中高生に対し、「デジタルを活用した支援」という角度から支援することで、将来的な経済的自立・精神的自立を後押しします。

具体的にどういった支援を提供していて、どういった効果があるのか、という点について、vol.6以降で綴ります。

中高生をサポートする活動を「応援したい!」と思った方は、ぜひマンスリーサポーターになって頂けると本当に嬉しいです。

より多くの中高生に機会を提供していくための交通費やPC購入、講師謝金などに使わせていただきます。

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