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不動の第一動者のイメージ

アリストテレスの「不動の第一動者」という概念を知った時、とても興味深いと思いました。

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干からびた肉感を伴わない抽象的なイメージというか、形相因の権化のような形式論理学の創始者とばかり思っていました。

ところが『形而上学』を紐解いてみると、この不動の第一動者が生き生きとした概念であることを知りました。

この「神」は、何者にも動かされない、自足した現実態であり、観照(テオリア)の状態で最高善を体現している。

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これは彼の師匠プラトンの言った「善のイデア」に相当するものだと言っていいでしょう。

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アリストテレスは「善のイデア」を受け継ぎつつも、彼の形而上学の体系にまとめあげ、宇宙論にまで敷衍しています。

その宇宙論は天動説となってしまい、後々の科学の発展の大いなる妨げとなってしまいました。

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しかし、アリストテレスが素晴らしいのは、壮大な形而上学を構想する能力がある一方で、現実主義的な段階を踏むことができることです。

『ニコマコス倫理学』においてはこの不動の第一動者に憧れつつも、我々人間はそれに次ぐ第二義的な「人間にとっての(合成的・複合的な)最高善」と、それを具現化する国家(ポリス)の政治的活動で満足する他ないとしています。

『ニコマコス倫理学』やアリストテレスの政治学についても追々触れていきます。

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