ヘブライズムと超越論的世界観(1)
前回まではヘブライズムに占める「機械論的世界観」について説明してきました。
今回からはもう一つのヘブライズムの重要な世界観である「超越論的世界観」について説明していきます。
「超越論的世界観」とは一言で説明すれば、今ある状況を自明視するのではなく一歩引いたところから見ることです。つまり、素朴に思い込んでいたことをいったん保留して、そして、「違う考え方ができないか」と様々な可能性を想定することです。
前回まで説明してきた「機械論的世界観」が「客観」や「自然」を説明する世界観であるとすれば、今回から説明する「超越論的世界観」は「主観」や「精神」を説明する世界観であるといえます。
そこから、
1.素朴実在論の否定
2.人間の「主観性」の尊重
3.相対主義
という3つの態度が生まれます。
この世界観と態度は近世において目覚ましく展開しましたが、その萌芽は中世の哲学にも見られます。存在優位の思想から超越論的世界観が生成したわけです。