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のぞみのなかみを垣間見れる、赤裸々noteをまとめました
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#エッセイ

大好きな兄が死んだ話

2017年6月22日、兄が死んだ。気づいたら7年もの月日が経っていて、わたしは彼の死んだ歳に追いついた。そろそろ、あの日を思い出してみてもいいんじゃないか。そう思えるようになってきた。お盆の力を借りて、書いてみたいと思う。 わたしの兄は、大きな志と書いて大志という。名前は力強いんだけど、160センチぐらいしかないし、肌が真っ白で童顔で、目を細めてフニャッと笑うすごく可愛いひとだった。 夏は暑い暑いと口いっぱいに氷を頬張って出かけて、冬は紺色のもこもこのダウンを着込んで首を

昨晩彼氏と別れたけどこの一年半をわたしは無かったことにしたくないよ

彼氏と別れた。付き合っていたのは一年半だけど、わたしが一目惚れしたのは2020年の2月。大学三年生の終わりがけだった。コロナに関する報道がすこしずつ増えていくなかで、ちょうどこれから就活のわたしたちはそんなの絶対に信じたくなくて、つとめて変わらない日々を送ろうとしていた。 目の奥に沁みるチカチカしたライト、お酒と煙草と香水の混じった匂い、露出の多い女の子たちとブランド名が大きく書かれた男の子たち。お腹の底がずんと震える重低音のなかで、つまらなそうにスマホをいじっている彼がな

叔母が終活をはじめた

そうだのんちゃん、宝石すき? いたずらっ子みたいな顔をする叔母は、高2の頃亡くなったじいじにそっくりだった。囁くように、秘密の話を持ちかける。 曽祖父の趣味だった宝石集めを、叔母もこっそり続けていたらしい。ささやかなご褒美として買い集めていたら、いつのまにか立派なコレクションになったと。 わたしが死んだら、のんちゃんにあげる!来年には、死んじゃうかもしれないから。 ガツンと頭を殴られたような気持ちがした。近いひとが亡くなって、終活を考え出したと笑いながら話すのを、うま

祖母が要介護認定された

どんどんばあばがいなくなっていく わたしのだいすきなばあばが いちごのようなおばあちゃんって感じ おばあちゃん、元気? のんちゃんちおばあちゃんかわいいよね 愛されキャラ、ってこんなひと どこに行っても嫌味のない愛嬌を振りまく 嫌なところなんてひとつもなかった おおらかで、快活で、楽観的で、 「そりゃあしょんないねえ」 「なんとかなるだから、大丈夫だよ」 「そういうもんだよ、気にするじゃない」 「失敗したっていいだよ、そのうちうまくなるさ」 そのことばに、何度救わ

死んだはずの兄が誕生日プレゼントをくれる夢を見た、25歳を迎えた日の夜

お兄ちゃんが誕生日プレゼントをくれる夢を見た。 4月27日、誕生日の夜にそんな夢を見るなんて、つくづく都合の良い脳みそだと思う。 死んだはずの兄がプレゼントをくれる夢お兄ちゃんが実家に帰ってきて、居間でちょっぴり気まずそうに「あのさ、」と声をかけられる。変わんないなあ、と思う。いつものあのリュックから、ガサガサとなにかを取り出して手渡してくれる。

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