『コロナワクチン 失敗の本質』 宮沢孝幸 鳥集徹

 2022年8月に出た本です。1年2カ月遅れで私は読みました。第1章の内容に感銘を受けて感想を書こうと思ったのですが、ついでにいろいろネットで調べるうちに、びっくりすることを知りましたので、それも併せて書いておきます。
 まず全体の構成を言うと、獣医学者でウイルス学の研究者である宮沢孝幸さんに、医療問題を扱うジャーナリストの鳥集(とりだまり)徹さんが、対談のようなインタビューのようなバランス加減で対話する、という本です。

 鳥集さんが〈私、そこそこ専門知識あります〉という立ち位置で話を聞かれるので、〈インタビュアーが、専門家と素人の間をつなぎます〉的な構図にはなっていません。そのおかげで高度な話が聞けると言えば聞けるし、ちっとも話が易しくならないと言えば言えるし、そこが微妙に、微妙なところでした。特に第1章については。
 私的には……うーん……いまの私ならそこそこ半分くらいは要点を押さえつつ読めてるかなと思うけれども、高校生の私なら確実に意味不明だろうな、と思います。そして大事なのは、とても大切な話が書かれているからこそ、高校生の私にも「これ読み!」と薦められる本であってほしかった、と、思います。

 章立ては、〈コロナワクチンの「正体」〉〈コロナマネーの深い闇〉〈マスコミの大罪〉〈コロナ騒ぎはもうやめろ〉の4章。ざっとしたページ配分でいうと70、70、30、30となっています。でも私としては第1章の分量をもっと増やして、もうちょっとゆっくり丁寧に宮沢さんの免疫学講義が聞きたかった!と思います。できれば簡単な図付きで。ていうか、ウイルス学でなく免疫学の一般向け講義書を宮沢さんに作ってほしい! いけてる編集者とのインタビュー形式で!
 2章以降は、内容の密度がぐっと下がります。とはいえ〈新書〉という媒体を考えると、むしろ新書らしいのは2章以降のほうで、1章の内容が専門書に寄りすぎているのかもしれません。

 ともかく、第1章です。mRNAワクチンの得体の知れなさが宮沢さんの仮説も含めて語られるのですが、この説明・仮説のリアルさが、何とも怖い。
 私に理解できた範囲であらましを書くと、免疫細胞は〈敵〉である新型コロナウイルスの特徴を見て、憶えて、攻撃する。ウイルスが大量に侵入してくると、直接対面する機会が増えるから、ウイルスの特徴を憶える免疫細胞が増えて、そのウイルスへの抵抗力が上がる。
 であれば、新型コロナウイルスの特徴を手っ取り早く知らせるために〈人相書き〉を作ってあらかじめばらまけば、感染前に免疫に準備をさせることができる、というのがそもそものワクチンの狙いです。一般的なワクチンでは、外で作った〈人相書き〉を体内に入れる。それに対してmRNAワクチンは、〈特殊な指示書〉を体内に入れて、人相書きを〈当人の身体の細胞〉に作らせる。この指示書が、mRNAです。

 ワクチンを打たれると、mRNAワクチンの成分を取り込んだ身体の細胞はせっせと人相書きを作ってばらまくようになる。
 でもこのとき、すでにその人が新型コロナに感染していて、すでに免疫が活性化された状態であったとすると、人相書きをばらまく細胞そのものが〈敵〉とみなされる事態にはならないか?というのが1つ目の不安要素です。

 そしてまた、必要以上にモノ(この場合は人相書き)を作りすぎるのを防ぐために、本来の仕組みではmRNAは早く壊れるようにできているそうです。ところがワクチンのmRNAには仕掛けがされていて、なかなか壊れない・壊せないようになっている。結果、いつまでもずるずる作り続ける。これが2つ目の不安要素。
 これら2つの不安要素が組み合わさると、〈人相書き作成細胞〉に対する免疫細胞からの攻撃は長引くことになり、さらにその人相書きをどこの細胞が作っているかによって、免疫細胞の攻撃結果は深刻なことになる。これらが、多様で複雑に長引くワクチン後遺症に関連するのではないか。

 生き物は、外からの働き掛けに対応していろいろな仕組みを作ってきた歴史があるので、ウイルスが入ってきた⇒だったらまずこうする⇒次にこうする⇒それからこうする⇒……と、反応が連鎖していきます。この連鎖をとめるのは、〈ウイルスが減ったよ!〉という情報で、そうなると今度は〈じゃあもういいよ〉の連絡が連鎖して働きは止む。
 ところがmRNAワクチンは、「人相書きを作れ」という指示がいきなりワクチンという形で入ってくる。そしてこの指示を解除する方法が身体にはない。自然界では起こりえないことが起こっているわけです。そしてさらに、そのことに対して10年後、20年後、子の世代、孫の世代になったときにどんな変化が起こるか・起こらないかはまったく分かっていない……。


 先日、mRNAワクチンの開発者がノーベル賞受賞と聞いて私はげんなりしました。で、さらに本書を読んで、余計にげんなりしつつも宮沢さん、一般向け教科書作ってくれんかな、とぼんやり思いながらネットで検索していて――驚きました。
 「新型コロナウイルスは人工物。初代から続く変異株も含めて人工物」という論文を宮沢さんが投稿して、いま査読に掛かっている、とのことでした。私が読んだ記事では「初代からすべて人工物」と書かれたものと「オミクロン株は人工物」と書かれたものとがありましたが、こちらの動画の完全版の4分くらいのところから、宮沢さんご自身が「初代からすべて」とおっしゃっているのでツイッターで発表されたことと論文発表の内容は異なるのかもしれません。動画では、生産者は中国でなくどうもアメリカらしいともおっしゃっていて、これは……大変なことです……。



 『コロナワクチン 失敗の本質』
 宮沢孝幸 鳥集徹
 宝島新書 2022年

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