天上の葦。を読んでみた
太田 愛3部作の3作目。
物語の冒頭‥渋谷スクランブル交差点のど真ん中、ひとりの老人が雲ひとつ無い空を指差し絶命する‥
この様子は当然に、その場にいる多くの人が目にする。
そしてメディアを通して全国にも晒される。
ネット上では様々な憶測が飛び交い、老人は時の人に。
そんな折、鑓水の探偵事務所に怪しい依頼が舞い込みます。依頼主は‥
かつて「犯罪者」の件で修司の命を狙い、鑓水たちの前に立ちはだかった磯辺満忠。
依頼内容は、先の老人が最後に何を指さしたか突き止めてほしい‥という、とても果たせそうにないもの。
修司は依頼を断るよう鑓水に忠告しますが、鑓水は1千万円の報酬で受けてしまいます。
鑓水に勝算はあるのか‥借金はかなりあるのだが‥
ときを同じくして停職中の相馬は、突然失踪した公安警察官の捜索を非公式に命じられます。
この2つの点が繋がり、鑓水たちが導かれた先にあるのは‥あの悲しい歴史‥
‥先の老人の奇怪な最期を符牒に動き出す者たち‥
この物語のテーマは
「巨大メディアの闇」そして
「そのメディアが権力に忖度することの恐ろしさ」
です。
いつ頃からだったでしょうか、権力に忖度しない朝日系メディアが伝える情報の質感が変わったように思います。
憲法21条で保障されている表現の自由‥これには報道の自由も含まれているのですが‥
‥繰り返してはいけない‥
著者の警告が鳴り響く中、私は本を閉じました。