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象と耳鳴り。を読んでみた

恩田 陸のデビュー作「六番目の小夜子」に登場した「関根 秋」の父、元判事の「関根多佳雄」が少ない手掛かりを基に推理し、論理をつなぎ合わせてさまざまな謎を解き明かしていく短編ミステリー集。

現役検事の「関根 春」とその妹でこちらは現役弁護士の「関根 夏」も加わり(この2人は秋の兄と姉)推理と物語に拡りが出てきます。

どの物語も魅力的なのですが、私が好きなのは「給水塔」と「誰かに聞いた話」です。

全く毛色の違う物語なのですが

‥人間の認知機能が取り入れた情報を脳が処理し、その結果生み出される虚像みたいなものが謎を深めている‥

この共通項がとても興味深く、読んでいて「人間の記憶を構成しているものって不確かなものかも?」と思わされ苦笑してしまいました。

特に「誰かに聞いた話」は文字数が少ない物語なのですが、記憶の迷走ぶりに共感が止まりませんでした。

のめり込むように読む長編ミステリーが楽しいのはもちろんですが、ちょっとした空き時間に完結する短編集の魅力も勝るとも劣らず‥

ま、ただ単に本が好きなだけですけど‥


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