一期一会 ──ネパールで出会った動物たち
一期一会。
それは旅人の合言葉。
空港。ホテル。路上。商店。寺院。
様々な場所で人々は目を合わせ、語らい、別れていく。
そんな刹那的な交流は、人間だけに限ったものではない。
“一期一会”という言葉には、ほんの少しの期待が込められていると俺は思う。
その期待とは、運命的な再会の可能性だ。
七年前に訪れたネパールは良い国だった。食事は美味しく、街や自然の景色は魅力的。時間と金銭的余裕があれば、何十年か後に再び行きたいとさえ思う。
その際、以前お世話になったガイドさんや話を交わしたバックパッカーと再会できる可能性はゼロではない。
“一期一会”を胸に秘めていても、きっと俺は“可能性”を探してしまうだろう。
一方、この動物たちと運命的な再会を果たせる可能性は皆無だ。
理由は決して言うまい。
バクタプルの商店で眠そうにしていた犬。
ナガルコットのホテルで飼われていた猫。
スワヤンブナートの仏塔を根城にしていた猿。
被写体となった動物達と俺は、ただすれ違っただけの関係に過ぎない。
“一期一会”という言葉は、旅先で出会った動物にこそ相応しいのだろう。