【5分で読める】四辻御堂物語~水龍の巫女と妖狐の罠~(憎悪の火20)【無料試読あり】
このお話のあらすじ
主人公が唱えた愛祝詞に、暴走する龍の動きが止まる。意識を取り戻したスオウが、その様子を見ていた。
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以下本文
「でも、まだ他の」
「解呪の術のことだろう?」
「へ?」
水篝火様が話を遮るように言う。
「ちゃんと聞いていた。その術には愛祝詞の勾玉と、心・体・魂の3つが1つになった空間の能力を持った人間の唱える祝詞が要る。・・・・・・どちらも、今のお主にはあるな」
水篝火様が私のみぞおちの辺りを指差す。お母さんに首に掛けてもらい、服の中に仕舞われた桃色の綺麗な勾玉を取り出す。これがまさか解呪に必要な道具だったなんて。
写真立てをそばの空間に浮かばせ、勾玉を首から外して両の手の上に置く。
「これは、お母さんが私だけのお守りだって」
「ある意味ではそうだ。それを本当の意味で扱えるのは今の時代、お主しか居ないだろう。愛祝詞の勾玉とこの術を作ったのは他でもない、巫女である市寸島比命だからな」
「その名前は・・・・・・もしかしてユリノ様のことですか?」
「そうだ。水の神であり、私の古い友人だ。姫と言うにはお転婆娘であったがな」
「じゃあ、ユリノって名前を付けたのって」
「我だよ。呼びにくいからな。ユリノが友人と認めた者だけが呼べる秘密の名前だ」
揺れる輪郭がにっこりと笑ったように見えた。水篝火様の両の手に乗せていた光がフッと浮いて、水篝火様の周りを飛び出す。心なしか、喜んでいるように見える。
あの時、苦しんでいた彼を少しでも救いたい一心で口走った言葉が、彼の魂を繋ぎ止めた。そのくらい、言葉には計り知れないほどの力がある。
言葉1つで人を救うことも、命を奪うこともできる。言葉こそ、人が扱う最も優しくて恐ろしい武器なのかもしれない。
だとしたら、私はお母さんに言わなきゃいけなかった言葉があった。それなのに最後まで言えなかった。全部終わってからでも、間に合うだろうか。
光が私の方にやって来て、同じように飛び回る。「大丈夫」と、耳元で小さな声が聞こえた気がした。
「この術の詳しいことはユリノにでも聞くがよい。時間が無い。準備はよいか」
「・・・・・・はい!」
「では始めるぞ。まず、呪いを解いてやりたい者たちのことを強く頭に思い浮かべろ」
「呪いを解きたい人たちのこと・・・・・・」
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