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美術品の美を考える

美術品の美しさって、
なんだろう、と考えてみた。

それは人間のによって
作られるもの。
例えば、生きた花などのように
儚くはない。
では、そのように
人が作ったものに
なぜ美しさを感じるのだろうか。
見た目の美しさということもあるが、
私は、
儚く失われゆくものを
なんとか形あるものに写し取ろうという
心の動きが大きく働くことによって
作品を制作しようという意図が働き、
それが美を産み出す力に
なることがあるのではないかと
考えてみた。

絵画のコピーや印刷ではなく
肉筆を美しいと感じるとしたら
それは画家の息遣い、
対象をここに写すのだという意図、
意欲、勢い、努力、熱意、
そうしたものを感じることができるから、
という説明は、
不適当だろうか。

私は美術品の鑑賞には疎いが
いつか機会があったら
美術館を訪れてみようと思っている。

これはフランス古典時代、
当代きっての画家、ラトゥールによる
肖像画で、Bouconという女性を描いたもの。

この女性は当時の
職業クラヴサニストで
非常に美人だったそう。

ラトゥールは、彼女の美しさを
キャンバスに写し取ろうと
絵を描いたのだろう。


ところで、楽器の先生が教えてくれた。
複数の作曲家が
彼女に捧げる曲を作っているのだそうだ。
デュフリしかり、フォルクレしかり、
ラモーもだ。

私はラモーによるLa Bouconを弾いた。
ラモーはクラヴサンコンセールの中の1曲として
La Bouconを作ったが、
後世、チェンバロソロに編曲されていて
私はそれを弾いている。

稚拙な演奏ではあるが、
曲を弾きながら味わうと、
ラモーが繰り出す
深淵な美しさを持つ和声に
驚嘆する。
美しさが空中に舞って、
そのまま宇宙に広がっていく。
時には絶叫のようにも聞こえる。

Bouconという女性が
どれだけ美しかったのか、
肖像画を見なくてもわかる気がする。



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