【エッセイ】おばあちゃんと過ごした話。
私が小学校低学年の頃、
よく「おばあちゃん」と過ごすことがあった。
父方の「おばあちゃん」だ。
夜の18時から21時くらいまで、母はパートへ行き、父は仕事で不在の事が多かったので、おばあちゃんが私を面倒見てくれていた。
おばあちゃんとは、小さいおもちゃの電子ピアノで簡単な曲を弾いたり、歌を歌ったり、トランプをしたり、「おはじき」もした。
おばあちゃんはお母さんに「おはじき」を教えてもらったらしい。
つまり私にとっては「ひいおばあちゃん」
私が生まれた時には、その「ひいおばあちゃん」は亡くなっていたので、会ったことはない。
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おばあちゃんは「おはじき」が強かった。
子どもの私より指が大きいのに「おはじき」に触れず指を通し、見事におはじきを「ピン」と当てていた。
「おはじき」は、大体私が負けていた。
その頃は何故負けるのかよくわからなかったが、たぶん、私には繊細さが無かったんだと思う。
そして慎重さにも欠けていた。
7歳くらいの児童なのだから、繊細さや慎重さなんて無いのは、当たり前なのかもしれない。
先日は七夕だったので、
おばあちゃんと「きらきら星」を
歌ったことも思い出した。
おばあちゃんは、
なぜか英語版を知っていたので、
英語版きらきら星を教えてもらい、
一緒に歌っていた。
>Up above the world so high,
>Like a diamond in the sky.
この部分は、私が覚えたものと違った。
私は「アクア ダイヤモンド インザスカイ」
というのを2回繰り返しで歌っていた。
子どもの頃に覚えたものは、
たいてい「いい加減」
そんなもんなのだろう。
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私の友達に「おはじき」の事を話したけれど、ほとんど知らなかった。
その頃おばあちゃんと「おはじき」をして以来、その言葉を聞くことも無い。
もちろん他人と「おはじき」をやった事もない。
おばあちゃんから譲り受けた「おはじき」は、
いつのまにか無くなってしまった。
いったい、どこに行ってしまったのだろうか。
もう、まったくわからない。
これだけ見聞きしないと、本当に「おはじき」というものがあったのかさえ、疑わしくなる。
しかし、この世には「おはじき」というものが実在し「おばあちゃん」もまた生きていた。
「おはじき」を「ピン」と弾く音
おばあちゃんの「きらきら星」の歌声
Twinkle, twinkle, little star.
How I wonder what you are!
つづく。
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