死にたい気持ちを収めるために
双極症特有の、急に来る衝動に駆られ、読書を始めた。
正確にいうと、10年ほど前は文系大学生で文学系ゼミに所属していたのもあって、近代文学〜推理小説までバカほど読んでいたのだが(その他文献なども、読むことが仕事みたいなところがあった)大学卒業し、読むことに対して関心が薄れた時期もあり、最近はパッタリ読まなくなっていた。
脱線するが、鬱の時って、本読めない。
文字を追うのがしんどい。
最近、霜降りのせいやと、令和ロマンのくるまが本を出したので、2冊ざっと読んだ。(令和ロマンM-1連覇おめでとう)
で、そういや、死に関する本ないかな?と探していると、2冊の本に出会った。
一つ目は三島由紀夫の「葉隠入門」。
これはなかなかヘビーな本である。
もともと山本常朝の「葉隠」という本があって、それを大切にしていた三島由紀夫が「葉隠」に書かれていることを解説してる本だが、この「葉隠」とはつまり、死に方のことであり、人間どうやって死ぬのがいいか、みたいなことをいろんな方面から書いている。
そもそも山本常朝の時代は武士が存在していて、武士という仕事は、死ぬことであり、死ぬことを仕事にしている人間はどういうことを考えて生きたらいいのか、どう生きるのがカッコよくて、どう死んだらカッコいいのか、みたいなところから発生した格言を弟子がメモって本になったという感じ。
生と死は表裏一体であり、死に方を語るには生き方を語らなければならない。
光るには闇がないといけない。
なんかよく分からん部分もあるけれど、グッと来る名言みたいなのがたくさんあって宝石箱みたいな本だった。
ちなみにこれを大切にしていた三島由紀夫は切腹自害している。すごいよね。戦後だよ?切腹ってね。痛い痛い。
三島由紀夫は自殺することが最後の使命みたいな感じだったのかな、、、
2冊目は夏目漱石の「こころ」。
これは高校の国語の教科書にもよく載っている文学作品だ。
けれど、国語の教科書に載っているのは、たいがい、3部構成の「こころ」の第3部であり、第1部、2部を踏まえて読む第3部はまた違った印象がある。
昔一度読んだことがあるが、記憶が曖昧だったのでもう一度読んでみているが、やっぱり夏目漱石って天才かも?!と思う。
最近読んだ文学作品がラランドニシダの「不器用で」だったから、単純に比較してしまっただけかもだが、スラスラ読めるのに心情が言葉にドッと重くのしかかりながら伝わってくる。くどい言い回しもない。(ニシダの本は設定は面白かったが、情景描写やら心情やらの言い回しがくどすぎて、難しい言い方したいだけのイキった大学生みたいな文章だった)
本来読みたいところは第3部の先生とKとの関わり合いなのだが、第1部で描かれる主人公からみた先生という人物描写が丁寧で、一貫していて、とても良い。影を背負った先生。その影が何者なのかが、第3部で明かされるのだが、第1部にしっかりタネを撒いてあって、これは最後まで読んだらまた最初から読みたくなるやつだと思い出した。
この物語の中で、先生と「死」というものがかなり深い関わりがあって、この本を思い出したのだが、さわりを読んだだけで、ああ、こういうのが読みたかったんだ、と思わせてくれた。さすが夏目漱石。
というわけで、読書好きな死に興味のある方はぜひ読んでみてください。