明日死ぬとしたら、あなたは今日をどう生きる? ハイデガー哲学が教えてくれる「本当の幸せ」とは
今回は、哲学書としては異色の、小説仕立ての哲学入門書『あした死ぬ幸福の王子 ストーリーで学ぶ「ハイデガー哲学」』をご紹介します。
この本を読んで、私自身の人生観が大きく変わりました。あなたも、この本を通じて人生の意味を見つめ直してみませんか?
あした死ぬ幸福の王子 ストーリーで学ぶ「ハイデガー哲学」
はじめに:なぜハイデガー哲学なのか?
20世紀最大の哲学者と言われるマルティン・ハイデガー。彼の哲学は難解で知られていますが、実は私たちの日常生活や人生の本質に深く関わる思想なのです。この本は、ハイデガーの核心的な概念である「死の先駆的覚悟」を軸に、私たちに「本当の幸せとは何か」「どう生きるべきか」を問いかけてくれます。
物語のあらすじ:傲慢な王子の人生哲学
舞台は中世ヨーロッパ。主人公は傲慢で自己中心的な王子です。ある日、彼はサソリに刺されて余命わずかとなります。死の恐怖に打ちのめされた王子は、自ら命を絶とうとしますが...
そこに現れた謎の老人が、こう告げるのです。
「自分の死期を知らされるなんて、おまえはとてつもなく幸福なやつだ」
この言葉をきっかけに、王子はハイデガー哲学の奥深い世界へと導かれていきます。
ハイデガー哲学の核心:「死の先駆的覚悟」とは?
ハイデガーの哲学で最も重要な概念の一つが「死の先駆的覚悟」です。これは、「死を自覚したときに、はじめて人間は本来の人生を生きることができる」という考え方です。
私たちは普段、「いつかは死ぬ」と漠然と思いながらも、その「いつか」を遠い未来のことのように感じています。しかし、実際には明日死ぬかもしれないのです。
この「死の可能性」を真剣に受け止めることで、私たちは初めて「本当の自分」として生きることができる—これがハイデガーの主張です。
「現存在」という概念:あなたは何者?
ハイデガーは人間のことを「現存在(Dasein)」と呼びました。
人間という言葉では固定観念にとらわれてしまうため、あえて別の客観的な表現にしています。
これは単なる生物学的な存在ではなく、「自分とは何者か」を問い続ける存在のことです。私たちは往々にして、自分以外のすべてを「道具」として見がちです。しかし、本当の「現存在」として生きるためには、自分自身の存在の意味を問い続ける必要があるのです。
過去と未来:「被投性」と「企投性」
ハイデガーは人間の存在を「被投性」と「企投性」という二つの概念で説明しています。
「被投性」:自分ではどうしようもない過去や環境
「企投性」:未来に向けて自分で選択できる可能性
私たちは、生まれた環境や過去の経験を変えることはできません。
しかし、未来に向けてどう生きるかは自分で選択できるのです。
なぜ私たちは「幸せ」を感じられないのか?
本書では、王子が様々な経験を通じて「幸せとは何か」を考えていきます。
多くの人は、「もっとお金があれば」「もっと地位が高ければ」と思いがちです。しかし、本当の幸せはそういった外的な要因ではなく、自分の人生をどう生きるかという「内的な態度」にあるのではないでしょうか。
「本来的な生」を生きるために
ハイデガーは、多くの人が「非本来的な生」を送っていると指摘します。これは、社会の価値観に流されるままの生き方のことです。
対して「本来的な生」とは、自分の存在の意味を問い続け、自覚的に選択しながら生きることです。そのためには、「死」を意識することが重要なのです。
この本から学べること
「死」を意識することの重要性
「現在」を大切に生きることの意味
自分の存在の意味を問い続けることの大切さ
「本来的な生」を送るためのヒント
哲学的な思考が日常生活にもたらす影響
最後に:あなたの「明日」のために
もし明日、あなたの人生が終わるとしたら、今日をどう過ごしますか?後悔のない人生を送るために、今この瞬間から意識を変えてみませんか?
この本は、難解と思われがちなハイデガー哲学を、小説形式で分かりやすく解説してくれます。哲学初心者の方でも、十分に楽しみながら深い学びを得られます。
人生の意味を探り、より充実した日々を送りたいと思う全ての人におすすめの一冊です。ぜひ、あなたも「幸福の王子」と一緒に、人生哲学の旅に出かけてみてください。
書籍情報
タイトル:『あした死ぬ幸福の王子 ストーリーで学ぶ「ハイデガー哲学」』
著者:飲茶
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2024年6月5日
ページ数:280ページ
みなさんも、この本を読んで、自分の人生について深く考えてみてはいかがでしょうか?
きっと、新しい気づきが得られるはずです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。