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『Believe』が流れなかった舞浜の話(2021/11/23 ukka "WHEEL of FORTUNE”の雑記)

2021年11月23日、快晴の舞浜。
その日の日没は、開場時刻と開演時刻のはざま、16時30分だったそうだ。
舞浜アンフィシアターの入場口は、建物の西側に作られているので、この時間帯、観客は、ちょうど夕日を背中にしながら会場に入っていく。
入口に白く光る”MAIHAMA Amphitheater”の文字を取り囲んで、周りのガラスに夕焼け空が映り込んでいる。
いつものように直接夕日を遠くに見るのとちょっと違い、少しだけ見上げた角度に、ガラスに乱反射する光がまぶしく目に入ると、陽が沈んでいくようにも昇っていくようにも見える。

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ukkaの6名新体制での初ワンマンライブ「ukka New Style LIVE2021 "WHEEL of FORTUNE"」は、改名前の桜エビ〜ず時代からを通じても、初めての円形ステージホールでのライブという挑戦となった。

(※以下、このライブの内容については殆ど書いておりません。ライブでどんなことがあったのかについては、ぜひニコ生で1ヶ月間公開されている中継アーカイブ映像や、安心と信頼のナタリーさんの記事、そして畏友新井みかんさんのライブレポなどなどをご覧ください)

このワンマンライブを行うこと、そして新メンバーをオーディション形式で加えて新体制で臨むことは、5ヶ月前のZeppツアーファイナルで同時に発表された。
その日から、舞浜が、新体制スタート「約束の地」となった。

「約束の地」舞浜。
遡ること5年前、茜空が書いたブログ。

このとき、この場所で写真にうつっている6人は、いま自分たちを支えている礎が、拠り所がなくて不確実なものということを、たぶん知っている。

そして、舞浜公演6日前、新メンバーを加えた6人がゲネプロを終え、公演直前予告として流された動画。


ふたつのメディアを括る、桜エビ~ず初期の楽曲『Believe』。
思えば、2年前、桜エビ〜ずの区切りとして、また結果としてukkaのスタートとなったライブ"ALL OUT"は、この曲から始まった。


そして、1年前、桜井美里卒業公演(第2部)のアンコールで歌われて以降、この曲がライブでセトリに含まれてはいない。


舞浜アンフィシアターの公演が始まった。
夕方5時ちょっと過ぎ、スクリーンに大写しになった羅針盤で、午後9時を示すところで長針と短針が重なり、鐘の大きな音が暗い場内に響いた。
向こうの方に、ガラスの靴が2足、大事に置かれているのが見える。
「シンデレラならば、真夜中12時なのでは?」
「いやもしかしたら午前9時なのかもしれない」
約束の時は、スクリーンの向こうとこちらで、そして新メンバーを迎えるために静かに下がっていった円形のステージの上とでは、静かに違う時間軸を刻んでいる、そんな気すらした。

overtureとともに、奈落からステージ中央にせり上がってきたのは、ルリ・リナの新メンバー2人。
次いで、奥にセットされた階段から4人が、大事そうにガラスの靴を拾い上げて、優しく2人に渡す。
でも、シンデレラストーリーは、ここで終わりだ。
「幸せに暮らしましたとさ」の一言ではない、その先を僕らは見たいんだ。
2人は、ガラスの靴をステージ前方にそっと置いて、マイクを手にした。

およそ3週間前、晩秋の少しだけ肌寒い空気の中で、4人が最後に歌った『WINGS』が、新たな6人のukkaに受け継がれた。
そして、続いたのが、3年前のこの時期(2018年12月17日)に発表された『キラキラ』だった。
久しぶりに平日が祝日となったこの日、晩秋の澄み切った空気の中で、舞浜にはたくさんの人たちが出ていた。
大丈夫だ、あっちだってこっちだって、時間は平等に流れている。

そして3曲目『時間。光り輝く螺旋の球。』

物語はぐしゃぐしゃに絡まってるの

この1年、6人から5人、そして5人から4人、とメンバーの数が変わるたびに、この曲も、いつしか環状の動きよりも、縦・横・奥行きを広く感じさせる振付に変遷していったように思う。
だが、今日、ここ舞浜の円形のステージで、均等に2時間に一度ずつ、時を刻む振付に戻っていた。
この振付を考えてくれた水春にも、同じように平等な時が刻まれていますように。

この日セットリストに入った、新曲を含む19曲の中には、『Believe』はなかった。

アンコール最後の曲『リンドバーグ』で、まだ自分たちが何者になったのかまでは見定められない様子で、しかし全力で「♪この空が青いのは」のパートをステージ上で一人で吐き切った、リナ・ルリの二人。
2時間足らずのステージの中で、それでも何者になりたいのか、しっかりとはっきりと見定めた様子で、彼女たちは、自分たちの履きやすい靴をそれぞれが選んで、自分たちの旅のスタートを切った。

夢の先に続く道の途中で
今私たちは輝いている
今確かにほら輝いている

リナ・ルリの2人が、自信に確信に満ちて、最後まで『Believe』を歌うのは、まだ先かもしれないし、もしかしたらそれは約束されない未来なのかもしれない。

それでも、6人の歩み始めた道のきっとその先に、満席の客席から、太陽の光が照らされる未来は必ず待っている。
その時に、はじめて、あの陽は昇ってるのか、それとも沈んでいるのかがわかるのかもしれない。

涙の向こうへ
長い夜の向こうへ
朝日差すその日まで

新たな6人のチームukkaに幸あれ。
いいライブをありがとうございました。


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