ひらてんさま〜風邪と咳治しの神〜
原作、脚本 梵天彪雅
1572年10月3日 甲斐の虎 武田信玄は
天下に覇道を敷く為、京へ進軍を開始した…
武田信玄は織田信長を支持する徳川家康の調略を試みたが失敗に終わった為、家康公が治める遠江国、三河国に軍をわけて侵攻を開始した
徳川兵『殿!武田の軍勢2万7千が領地に押し寄せて参りました!』
徳川家康『……やはり、来よったか……
織田からの援軍はどうした!』
酒井忠次『それが、、、』
平手汎秀、佐久間信盛が不貞腐れて家康の陣に入ってくる
回想
織田信長『今は阿呆の義昭めがワシに歯向かって来ておる故、軍は出せぬ……』
平手汎秀『されど、徳川殿は我らと同盟国ではありませぬか?!』
織田信長『汎秀……なれば、貴様が死にに行くか……』
平手汎秀『……は!殿のご下知とあらば!ゴホッ!ゴホッ!』
織田信長『フッ…虚勢を張りよって無理をするでない…信盛!』
佐久間信盛『…ハっ!』
織田信長『貴様も行け……汎秀も気になるのであろう……貴様は退き佐久間と呼ばれた退却戦に秀でた将であろう…』
佐久間信盛『なれば、今回は、武田への偵察と徳川殿への陣払いの交渉に…』
織田信長『……あくまで汎秀の為に貴様は動け、徳川は知らん……徳川がいなくなれば武田は無傷のまま我らの領地に進軍してくるではないか』
平手汎秀『なれば、徳川と武田で相打ちとなればと?』
織田信長『ならぬであろうな……だが、武田も無傷ではおるまい、、そこを織田で揉み潰す!』
平手汎秀『させませぬよ……殿こそ、無理をなされまするな…殿こそ家康殿が亡くなる事を恐れているではありませぬか……』
織田信長『戯言を…』
平手汎秀『我らにお任せを!佐久間殿!行くぞ!』
佐久間信盛『ま、まて!では、これにて…』
回想終わる
徳川家康『おぬしらだけか?信長殿は?』
佐久間信盛『いや、あ、あの〜、それは、、』
平手汎秀『どけ!』
徳川家康『なんじゃ!』
平手汎秀が徳川家康の胸ぐらを掴む
平手汎秀『我らが殿は武田と徳川の両方の血を欲しておるそうじゃ!!つまり貴様らは足掻かねば死ぬぞ!!』
本多忠真『殿を離さぬか!』
平手汎秀『あん?やるんか!ゴホッ!ゴホッ!』
平手と本多の殺陣
徳川家康『やめぬか!!』
佐久間信盛『あい、すみませぬ!今回、平手殿が我らが大将になりますれば、平手の言う通りここは死ぬ気で当たらねばなりますぬぞ!』
徳川家康『その手には乗らぬ……ワシらはここを引き払う……』
平手汎秀『………ゴホッ、ゴホッ!どいつもこいつも辛気くせえ面しやがって!……ワシが武田くらい倒してきてやるわい!』
本多忠真『ど、どこへ行かれる!?話の途中じゃぞ!』
平手汎秀『武田の本隊じゃ!ワシが蹴散らしてやるわ!』
佐久間信盛『ま、待て!ワシらの任はこれでしまいじゃ!貴様がココで死なんでも良い!…』
本多忠勝『あ💢?』
佐久間信盛『あ、い、や、あ、あの…平手殿?平手どの〜』
遠江国 稲葉山のとある坂
太兵衛『お侍さん……隠れないと武田の軍勢が来るだ…』
平手汎秀『主らこそ、早よ逃げぃ!ゴホッ!ゴホッ…ゼェ…ゼェ…』
太兵衛『だ、大丈夫だか?』
平手汎秀『大丈夫じゃ…ワシは生まれた頃から喘息持ちじゃからのぅ……そうじゃ……拙者はこの地にて一命を落とすが、これからは神となりこの土地の民が患う喉の病を治してしんぜよう……』
太兵衛『そんなこと言わずに逃げるだ!』
武田の軍勢が迫り来る
武田兵『農民か!邪魔じゃ!』
太兵衛の代わりに平手汎秀が身代わりに槍に刺される
平手汎秀『ゴホッ!ゴホッ…』
太兵衛『お侍さん!』
平手汎秀『お前、名は、、名は何という…ゴホッゴホッ』
太兵衛『…太兵衛だ…』
平手汎秀『そうか…太兵衛…徳川殿に浜松城に逃げよ!生きよ!と伝えてくれ……さらばじゃ….』
平手汎秀『我こそは織田軍援軍大将!平手監物汎秀!武田の根性無しが!なんじゃあ!この程度か!話にならんわ!』
平手汎秀と武田兵数名の殺陣があり
平手汎秀 討死
徳川陣
徳川家康『…太兵衛と申したか…』
太兵衛『…んだ!』
血まみれでよれよれになった太兵衛が家康の前にいる。
徳川家康『平手殿はどうした?』
太兵衛『家康って人に浜松まで逃げろって伝えろって…』
佐久間信盛が落胆する
佐久間信盛『平手…殿……』
徳川家康『織田の軍勢がここまでしてくれたたんじゃ!ワシらが逃げるわけに行くまい!出陣じ!!』
佐久間信盛が徳川家康を殴る
本多忠勝が抑える
本多忠勝『何をするんじゃ!貴様は!』
佐久間信盛『平手殿の死を無駄にするな!死ぬな!逃げよ!』
本多忠真『……殿、ワシが殿を務めまする!
!さらばじゃ!平手殿には先を越されたがのハッハッハッハ!』
徳川家康『……忠真…皆、あい、すまぬ!
退却じゃ!』
三方ヶ原が終わり……
徳川の将兵が幾人も去っていった先陣に浜松の民を先に守って消えた将、平手汎秀がいた
彼が死んだその地には平手神社という神社が建ち彼が遺した『拙者はこの地にて一命を落とすが、これからは神となりこの土地の民が患う喉の病を治してしんぜよう』という言葉の通り祈れば風邪や喘息が治る地元の神様ひらてんさまとして今も親しまれ続けているのであった。
完