全能のパラドックス
「全能のパラドックス」を御紹介します。パラドックス界では有名なパラドックスです。パラドックス中のパラドックスと言っても過言ではありません。なので、パラドックス界の戸愚呂弟とも言えます。屁理屈を付ければ、なんとでも言えるのです。
あるところに、全能者がいました。全能とは「なんでもできる」ということです。万能調味料みたいなものですね。人間版ウェイパーです。その全能者が「重くて誰も持ち上げられない石」を作りました。レシピは非公開です。この時点で、全能者は「全能」ではなくなります。なぜなら「石を持ち上げられない=全能ではない」からです。
逆の場合を想定してみましょう。全能者が「重くて誰も持ち上げられない石」を作れなかったとします。その際に「やーいやーい。無能者め」と冷やかすのはやめましょう。我々一般人と同様に、全能者も一所懸命に事に励んでいるのです。この場合も「作れないものがあるなら全能ではない」ということになります。もはやお手上げ。お座り。ふて寝。
一応、解決策めいたものもあります。ただ、これは完全に「後出しジャンケン」なので、納得がいく人は少ないでしょう。「ジャカジャカジャンケン」であれば、コニーちゃんに勝つと、その日はラッキー状態(無限の解釈が可能)になります。ですが、後出しジャンケンで勝っても、罪悪感が残るだけです。
上記の解決策もどきを見て、まごごそら改め孫悟空の名言を思い出したという人もいるでしょう。かの有名な「だいじょうぶだ ドラゴンボールで 生きかえれる」というものです。このセリフを少し削れば「大丈夫 ドラゴンボールで 生き返る」という俳句になります。季語はもちろん、ドラゴンボールです。ドラゴンボールは、あらゆる季節に適用できる万能ボールです。
ただ、ドラゴンボールに依存するのは問題です。ドラゴンボールに頼り切りになると「死んでもどうせドラゴンボールで生き返れるからなぁ」と慢心してしまいます。その結果「今ある生」に専心できなくなるのです。「生の希薄化」を招くということですね。
「艱難汝を玉にす」ということわざもあるように、人間というのは、多大な困難を乗り越えることによって成長するのです。サイヤ人が瀕死の状態から回復するとパワーアップするようなものですね。ドラゴンボールという劇薬に頼らずに、地道なトレーニングを継続することによって、自らを高めることが大事なのです。
ドラゴンボールというのは、言うなれば蜃気楼のようなものです。そこに存在するように見えても、虚像なので存在しません。虚像というのは、とても不思議な現象ですね。ワンダと巨像ってか。
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