マガジンのカバー画像

随筆

17
日々の雑感等を随時更新中です
運営しているクリエイター

#散文

【随筆】手を繋ぐ

手をつないで歩く人たちが羨ましく思えるのはなんでだろう。冬って特に。 買い物に行く途中で…

【随筆】変わってゆくこと

 故郷は懐かしく、愛おしい。  けれども故郷に帰るたびに、その姿は少しずつ変わっていく。…

【随筆】月明かりの夜に

 あれは空の裂け目なのかもしれないと、ふと思った。澄み渡る濃紺の空に猫の爪痕のような、細…

【随筆】バイト帰りの夜、喚く頭

バイト帰りの夜。 深夜の町はとても静かなのに、私の頭の中はガチャガチャとうるさい。 明日…

【随筆】薄暮

 ふと顔を上げた時に目に飛び込んでくる薄暮の空。この美しさを、いったい何に喩えればいいの…

6

【随筆】指

 僕の指は汚い。短く、丸く、しわが目立つ。抜いても抜いても毛が生えてくる。爪なんてもうひ…

1

【随筆】午後の散歩

 風になびくススキの穂が、西陽に反射してきらきらと光っている。夕暮れというには少し早い午後の川沿いの道を、僕は一人で歩く。  頬に感じる風は少し冷たく、陽の光は暖かい。目を閉じて、それらの感覚に意識を添わせると、自分という存在の輪郭が溶け出していくような、不思議な気持ちになってくる。ただふわふわと揺蕩いながら道を行く、日曜日の午後のこと。  

【随筆】北陸の冬

 暗く冷たく、陰鬱な朝。空は灰色、アスファルトも湿って黒く光る。ぽつぽつと降る雨と吹きつ…

1

【随筆】思考の海

 薄暗い明け方の部屋でひとり、布団を被ったまま聴こえる雨音に耳をすませる日、気怠く心地よ…

5

【随筆】上弦の月

 空にぽっかりと浮かぶ上弦の月を透かして、薄い雲がゆっくりと流れていく。絹のベールを被っ…

2

【随筆】冬の昼過ぎ

 冬、13時を過ぎる頃。もう太陽は夕方の色をしている。空も空気も町並みも少し黄ばんで、1日…

5

【随筆】美しいものと恐怖と(端的に僕について)

 美しいものを数えようと思った。  背後から、ただ忍び寄ってくる真っ黒な不安から逃げるよ…

5

【随筆】悲しみについて

 西日に輝く稲穂の金色を美しいと思うのと同じ心で、貴方を憎いと思う。澄み渡る青色の夏空に…

2

【随筆】独りぼっちの流星群

 僕のオンボロ車をゆっくり走らせる。フロントガラスに付いた細かい傷痕が、街灯の光を反射する。流れる景色に合わせて繊細に、チカチカと動くその様は、まるで流れ星のようだ。中途半端な田舎の町外れの道は、21時を過ぎる頃には人っ子1人見当たらず、車1台すらも通らない。この世界に僕一人だけ。そんな阿呆みたいな空想を抱きながら、僕は今日も車を走らせる。どうせ家に帰っても1人だ。家に帰ってジワジワと身体に染み入る寂しさに震えながら、あの人からの連絡を待つのは嫌なのだ。どうせ独りぼっちなら、