【それは『プロを殺していませんか?』という話】
ちょっと怖いタイトルになっていますが、決して暴力的なお話しではありません(苦笑)。
私は平たく言って、いわゆる”コンサルティング”を生業としています。
クライアントの課題・問題・悩みに対して、解決策や解決までの道筋を示し、寄り添いながら歩き、ともにゴールを目指すという役回りです。
私自身はコンサルティングという仕事をそう認識しています。
クライアントから私達にお声が掛かる時には、クライアントに何か問題が発生している、あるいは難問が立ちはだかっているのが見越せている状況です。
クライアントは、自身の今までの経験や知識、やり方では対処・解決が難しいであろうというものを感じたり理解したりしている状況です。
お声が掛かれば、私達は"プロ"として、クライアントに対してのベストが達成されるように、全力をもって取り組みます。
しかし、ここで問題が生じることがままあります。
どういうことか?
それは、クライアント側から、
「提案のあったそのやり方はやったことがないな」
「説明のあったそのやり方では今までのルールと異なる」
などと難色を示されることがあります。
そして、
「今までの慣習やルールは変えられないし、越えられない。何より理解が得られないし、説明が難しい。」
「概ねいいけど、この部分は今まで通り、このやり方を採用してください。」
と、当然のように注文が付きます。
ちょっと考えて欲しいのですが、"今までの自分達の知識・経験・やり方(ルール)ではどうにもならなくて外部に助けを求めている、活路を見出そうとしている”んですよね?
なのに、自分達の理解の範疇から外れるからNGだといって、解決できない自分達の枠内に引っ張り込むのは如何なものでしょうか?
これ、実は『プロの力を殺す』行為なんですよね。
もちろん、コンサルタント側・プロ側からのしっかりした説明は必要で、クライアントから一定の理解を得ることは必要だとは思いますが、基本的にはクライアントはプロを信頼して任せて協力する姿勢が大切だと思います。
その方がお互いに100%の力を発揮できて、最高の結果を得られる可能性がグッと高まるんじゃないかな?と思います。
私はコンサルの立場なので、ポジショントークの偏った目線の意見と思われるかも知れませんが、これは私自身が誰かにものを頼む時に意識していることでもあるんですね。
達成したいゴールはあるけど、手法・プロセスなどが自身の中で試行錯誤が必要でなもので、そのことについて自分より長けている人がいて任せられるなら、全てお任せするようにしています。
”私が望むもの・考えるものは何なのか?”といった目的達成に必要だと思われる質問があれば、全てお答えするようにしています。
その方が、確実に早く良い成果が得られるからです。
逆に、任せきることができずに、プロの考え・プロの仕事にあれこれ一般人の考え・手垢をベタベタとぬたぐってしまうことは、せっかくのプロのスキルを台無しにすることになります。
それは、”プロのスキルを殺す”ことと同じですよね?
"これぞ!"と思うプロにお願いできたなら、しっかり全てをお任せする意識と覚悟がクライアント側には必要だと思います。
その方が絶対に得ですからね。
それは『プロを殺していませんか?』というお話しでした。
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諏訪寛 (著) 形式: Kindle版