病気のわたしから見えた世界(前編)
統合失調症、という病気をご存知だろうか。
ストレス社会の現代において、著名人からの適応障害のカミングアウトが増えたり、メンタルヘルスの特集が盛んに組まれたりするなど、精神疾患の存在は徐々に認知され始めているように感じる。
うつ病や双極性障害、上記の適応障害などはよく耳にするが、統合失調症という病名についてはあまり馴染みが無い方も多いかもしれない。
しかし、実は約100人に1人の確率で発症するという意外と身近な病気なのである。
大学1年生の秋、私はこの病気を発症した。
今振り返ると病気の症状である諸々の出来事が、病気であると分からず、この世界でたった一人になった半年間を、思い出す限り書いてみようと思う。
当時、学業とサークル活動がハードになり、ただでさえマルチタスクが苦手な私はギリギリを走っていた。
そこに失恋、更には試験前に携帯を無くすという出来事が最終的なトリガーとなり、私はこの病気を発症した。
始めは、すれ違う人、街でも大学の中でも、
皆が私のことを知っており、キモい、ウザい、などの暴言を吐かれた。
街中の誰もが自分のことを知っているなどありえないことなのだが、当時の私は分からない。
そして、家に帰ってリビングにいても、近所の焼肉屋に家族で出かけても、上には常にヘリコプターがおり、監視されていた。
(ブーンという音は幻聴だったのか、それとも本当にヘリコプターの音がしていたのかは今でも分からない。けれど、常にいる訳ないからやはり幻聴だったのか…。)
そして、そのヘリコプターからの映像は、24時間Youtubeにアップされ続けているので、その様子を観ているバスの乗客(小学生だった)に私は笑われた。
そんな生活を半月弱過ごしたと思う。
失恋のことや、サークルのタスクについて、先輩や同期にも心配され、相談もしようとしていたが、その時にはもう頭は全く回らず、相談どころか殆ど自分から会話は出来ない状態だったことを覚えている。
そんなこんなで、離れて暮らす母親が家に来た時、私の様子を見て病院に行こうと言われた。
だが、当時は病院に行くのが怖く、2~3日は粘ったと思う。
テレビで、森の中のチンパンジーの特集をしていたのだが、私はそのチンパンジーが自分だと思い込み、森の中でたった一人だと感じた。
今考えると笑い話のように感じるが大いに真面目にそんなことを考えていた。
その次の番組は恐らくサスペンスだったのだが、犯人が追ってくる場面でまるで自分が追われているように感じたし、包丁で刺されそうになると自分も刺されそうに感じた。
そして、キッチンに向かい包丁を持って本当に死のうとしたのを覚えている。
希死念慮が芽生え、どうやったら楽に死ねるか(ここまで来ても苦しみたくはなかったみたい)を考えたり、隣家を放火すれば自分も死ねると実際に発言したりもした。
これを機に(とは言わないけれど)、父は火災保険に失火見舞費用特約を付けたそう、、、
というのは冗談で。
長くなったので一旦ここまで。
後編では入院してからについて綴ろうと思う。
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