一穂ミチ「光のとこにいてね」 #001
あの日、うらぶれた団地で出会った結珠と果遠。全く違う境遇にありながら、同じ孤独を抱える二人の少女は強く惹かれ合う。いま最注目の作家が問いかける家族、そして愛
第一章 彼女を思う時、いつもわたしは七歳に返る。幼いあの子、幼いわたし。振り返った時、陽だまりの中に佇んでいた彼女。濃いえんじ色のスカートの秩序だったプリーツ、そこから伸びた棒みたいな脚を包んでいた真っ白なソックス。夕方の翳りが混じり始めた日なた。朝ほど強烈ではなく、真昼ほどあっけらかんともしていない、時間によってやわ