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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2019年6月の記事一覧

KingGnuという名の“沼”【後編】~常田大希という男について~

グループのリーダーを務めるGt.常田大希は、Vo.井口理の歌声を「嫌われない声」と称している。 これは本当にその通りだと思う。 彼らの最新アルバム『Sympa』を僕は未だに毎日聴き続けているのだが、井口の声は一切嫌いになる要素がない。恐らく“ガナリ”だとか“鼻にかかった声”がヒットの阻害要因となり得る音楽業界で、井口の“全くクセのないクリアな声”はバンドにおいて最大の武器になっている。 それに対して、常田の声はあまり大衆向きとはいえない。 常田本人が「俺のダミ声じゃ売

花譜ファーストワンマンライブ「不可解」につきまして

いつも花譜を応援してくれてありがとうございます。 バーチャルシンガー花譜の運営チームから、今回いくつかのご報告があります。 花譜のファーストワンマンライブ「不可解」は今回関係者の皆様とクラウドファンディングで支援してくださった多くのファンの皆様のおかげで、無事にワンマンライブの実施へと辿り着くことができました。 最高の形で実施出来る事に運営チーム一同、心より感謝しております。 皆様からの応援に対して、感謝の気持ちや運営サイドとしてもお伝え出来たらと思うことがあり、プロ

すべての礎となる「音の聴き方」

音を聴くこと。これはすべてのサウンドエンジニアにとっての礎(いしずえ)となる「技術」です。あえて「技術」とするのは、聴力の優劣というものではなく、音を聴くことにはいくつかのやり方があると考えているからです。ここでいうやり方というのは、空気の疎密波によって鼓膜が振動して云々という一般的な音を聴くことであることは変わらず、聴くときにどういう意識で、どういう頭の使い方で音を把握するかということです。 繰り返しますが音を聴くことはレコーディング、ミキシング、マスタリング、PA、MA

音楽活動とお金の三か条

この3年間イギリスで音楽活動をしてみて、メジャーレーベルのバックアップがないとはいえ、物事の進展をスピードアップさせるため、個人でもそれなりの予算をかける必要があった。初めて『音楽弁護士』に相談に行った時、イギリスで音楽活動するためにはとにかく金がかかるしそんな金があったら使わない方がいいと言われた(その時のムカついた体験はこちらに書いている)。今個人的な体験から言えることは、資金があって、家族を養う責任もない年齢で、健康で野望があるなら、とことん資金と時間を費やして挑戦する

2019年上期の総括と、下期の成長戦略。

ただ2019年6月26日(水)、今年6枚目、7曲目となるシングル「Reason」をリリースしました。僕たちにとって、とても思い入れの強い作品です。ぜひ、沢山の方々にこの曲を聴いてもらいたいです。 アートワークを飾った女性は、八景島シーパラダイス「LIGHTIA」テーマソングである「Love Song」を共に作り上げた新人ボーカリスト、MAYUMIさんです。彼女と1年ぶりにタッグを組み、アップデートされた歌声を存分に披露してもらいました。Love Songは以下から聴けます。

日本の夏フェスのジェンダーバランスをチェックしてみる

前置きとかどうでもいいから調査結果にショートカットしたい、という人は「目次」から「調査結果のまとめ――男女比1~2:7の法則?」へジャンプだぜ! 調査結果と考察は無料で読めます。 はじめに FUJI ROCK FESTIVALの開始から20年以上が経ち、「夏フェス」を始めとした音楽フェスティバルはここ日本でもすっかりお馴染みのイベントになった。いわゆる「4大フェス」といわれるFUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、ROCK IN JAPAN FEST

クラウドファンディングが、音楽業界のブラックボックスを解放していく

前回、これまでMotionGalleryに掲載してきたクラウドファンディングのプロジェクトがこの社会を変えてきたというお話をした。映画やアートのプラットフォームだと思われがちなMotionGalleryだが、その他のクリエイティブなプロジェクトも、もちろんたくさん掲載されきた。今回は音楽にスポットをあてて、社会にインパクトを与えてきた事例を振り返ってみよう。 クラウドファンディングのプラットフォームが起こり始めた2011年、今のようにたくさんの人が配信で音楽を楽しむことも、

浮世絵とJ-POP

現代で生活に寄り添う表現で最たるものは音楽なのではないかと思っています。昔気に入ってよく聴いていた曲を時間が経ってあらためて聴くと、懐かしさとともにその時過ごしていた場所や大事な人を思い出すことがあります。 歌川広重が「名所江戸百景」に取り組み始めたのは安政の大地震があった直後で、復興の願いを込めて江戸の各所を歩き描いたという話を聞いた時、その浮世絵を見た江戸の人たちは現代人が曲を聴く時と同じように思い出に耽ったんじゃないかと想像しました。東京の風景を描く「下町百景」という

志村正彦という男〈没後10年〉

才能あふれるロックスターは体力が落ちる30代を前に、全てのエネルギーを使い果たしこの世を去ってしまう。ジミ・ヘンドリクス然り、カート・コバーン然り。今年はとある日本のロックスターがこの世を去って10年になる。 彼の名前は「志村正彦」 ロックバンド''フジファブリック''のギターボーカルとして2000年から2009年まで活動し、大半の楽曲を作詞、作曲していた。 正直、当たり前な事なのだが、志村がいた''フジファブリック''とリードギターの山内が引き継いだ現在の''フジファブ

三浦大知「片隅 / Corner」

 三浦大知のニュー・シングル「片隅 / Corner」を初めて聴いたとき、あらためて実感したことがあります。それは、滑舌の良さとブレスの混ぜ方の上手さです。このスキルがあると、『仮面ライダーエグゼイド』の主題歌にもなった“EXCITE”のように、譜割りが細かい曲もしっかり歌いこなすことができる。日本語で歌われる曲の場合、他の言語と比べて発音の区切りが細かいため、メロディーの1音に対して1文字割りあてたものが多くなりがちです。それゆえ譜割りを細かくすると、舌が回っていないよ

エンタメではない音楽の価値を実装せよ:「新しい音楽の学校」説明会ハイライト

岡田一男(エンタメブートキャンプ)、ジェイ・コウガミ(All Digital Music)、柳樂光隆(Jazz The New Chapter)、若林恵(黒鳥社)らボードメンバーが率いる「新しい音楽の学校」。7月3日の開校に先駆けて、プログラム説明会が6月21日の夜に開催された。音楽業界の未来を憂う50名以上の参加者があつまるなか、プログラムの内容とその意義について、4人それぞれが熱弁をふるった。発言のなかから、ハイライトとなる言葉をまとめる。 >>全16回となる講義の詳細

やねうらお特別インタビューin BM9820AT<書き起こし永久保存版>

こちらは、フリーゲーム「BMS」の20周年を記念して開催された「BM9820A-BM98 20th Anniversary- in Tokyo」内でのイベント「やねうらお特別インタビュー」の様子を、日本語にて文字起こししたものです。 実際のインタビューの様子は以下youtubeにアップロードしております。 (無料でどなたでもご覧いただけます。) こちらの記事はインタビュー動画の会話を文字起こしし、海外の方々が翻訳して読むことを前提として作成されました。そのため、youtu

【Live Report】2019/6/22,23 ゴスペラーズ 25th Anniversary “ゴスフェス”

[注意事項] ▶いかんせん長い(ピンポイントで読みたい方は、↓の「目次」から飛ぶことをおすすめします) ▶トークはかなり少なめ ▶紙面には残せないであろう部分(コーラスやアレンジや歌そのもの)への感想が多め ▶セットリスト(セトリ)記載あり * * * [ゴスフェス] 2Days総括2019年6月22日(土)、23日(日)の2Days、 ゴスフェス@東京国際フォーラムに参加してきました。 [Day1 & Day2 ゲスト出演者] 佐藤善雄、TOKU [Day1 ゲ

海外のレーベル/プロデューサーへ曲を送る時に大事な事

こんばんは、Pharienです。 プロデューサーの方から需要がありそうなのでNoteを初めてみました。 忙しいのですが暇を見つけて役立ちそうな事を書いていけたらと思います。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ さて初の記事ですが、今回はタイトル通り「海外のレコード会社、プロデューサー、DJに曲を送る時に大事な事」について書きます。 僕のインスタやツイッターのDMで日夜大量に来る質問で一番多いのがこの質問です、意外な事に。それでは実際