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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2018年7月の記事一覧

様々なエレメントが組み合わさるから美しい――カマシ・ワシントンを「ダイバーシティの音楽」として聴く。

👉はじめにJazz The New Chapter 5のなかで柳樂さんのインタビューに答えて、カマシ・ワシントン(ジャズ・ミュージシャン/サクソフォン奏者/作曲家)はこう答えている。 「様々なエレメントがあるから、様々なエレメントが組み合わさるから美しい。世界も様々な人が暮らしているからこそ美しいんだよ」 これはカマシ・ワシントンというミュージシャンの根幹にある価値観であり、思想といっても良いかもしれない。こういった考えが基盤になっているからこそ、カマシの音楽には多様な楽

チャットモンチー、これは聴いとけ!!マイベスト

先日の涙涙のラストワンマンから早2週間。今週末のこなそんフェスでついに、チャットモンチーが完結する。 私がチャットモンチーと出会ったのは2012年で、もうくみこんが脱退した後だった。ロッキンジャパンのスタッフ業務をしている時にグラスステージ(確か)からえっちゃんの歌声が風に乗って聴こえてきて、ああチャットモンチーCD借りたけど流しただけでちゃんと聴いたことなかったな、歌声いいなあ、聴いてみようと思ったのが最初。それからはもう、絵に描いたようにチャットモンチーの世界に惹かれて

SNSが浸透しない音楽業界に「もったいない」と感じる、にわかファンのぼやき

先日、人生ではじめて自分から友人を誘って、とあるアーティストのライブに行ってきた。 私にとってライブは人生で4回目。それなりに好きなアーティストや普段から聞く音楽はあるが、ライブのチケットを頑張って取るほど音楽に対して情熱があるわけではないタイプ。今までの3回は全部知人から誘われたものや、ひょんなことからチケットが手に入ったものだった。 しかし、今回は珍しく自分から友人に声をかけた。前からいいなと思っていたアーティストがいて、たまたまライブをやるとの情報がSNS上で目に入

三浦大知『球体』

 去年はシングル“EXCITE”で初のチャート1位を獲得するなど、ようやく正当に評価されはじめた三浦大知が、ニュー・アルバム『球体』を完成させた。これまでもたびたびコラボを重ねてきたNao'ymt(ナオ'ワイエムティー)が全面的に作詞・作曲・編曲・プロデュースで参加した本作の始まりは、今年の5月から6月にかけておこなわれた同名のツアーだった。三浦自身が演出、構成、振付を手がけたそれは、ひとりの男によって時空を越えた17の物語が描かれるという壮大なドラマだ。これらの物語は連

Interview Kan Sano - どこにも属したくないと思ってたし、誰とも同じことをしたくないと思ってやってきた

僕は2014年2月に『Jazz The New Chapter』を刊行した。その時に売り場を見にタワーレコードに行ったら、店内演奏の音源が耳に留まった。「あれ、この感じ、自分の本でも取り上げてる感じのサウンドじゃん…」。何がかかっているのかを見たら、それはKan Sanoの2ndアルバム『2.0.1.1.』だった。「わ、日本人かよ」。そこから彼のファンになった僕は何度かライブにも足を運んだりもした。 2017年にKan Sanoは3rdアルバム『k is s』をリリースした

¥100

そっと、確かに、響かせる #06:疲れる音

音を聞いていて疲れてしまうことがありませんか?音を気持ちよく聴くことと同じように、疲れについても考えてみましょう。音を聴くことにだって体力を使います。 耳は閉じない耳はつねに開いています。目におけるまぶたのように使わないときに閉じるということができません。だからといって音が常に垂れ流しで入ってくる訳ではありませんよね。 人の耳は周りにある音のほとんどを拾いますが、その中で自分にとって必要な音=聴こうと思っている対象(相手の話声や好きな音楽)や感知しなくてはいけない優先的な

平成最後の夏、人生で初のアナログシンセ。

はじめまして、Tajima Haruoです。 トランスやアンビエントを中心に曲を作っています。 このたび、DTM開始一周年を記念して憧れのアナログ・シンセサイザーを購入しました。 往年の名機のミニサイズ復刻版、KORG MS-20 miniです。 今までの人生でも指折りの感動を得たので、とめどなく溢れてくる気持ちをノートに吐き出していきます。 この記事を通して、ソフトシンセで打ち込みをしている方々にアナログシンセの良さを少しでも伝えられたら良いなぁと思っています。 まずM

韓国インディのおすすめ10曲

ぼくが韓国の音楽を聴き始めたのは、ルシッド・フォールが日本で紹介された2013年頃から。ネオアコやブラジル音楽、あとAORの影響を受けたようなサウンドですぐに気に入りました。そこから色々と聴き進めていったのですが、ぼく好みの音楽がザクザク出てくるんですね。そんなわけで、今日はぼくが好きな韓国インディを10曲ほどご紹介します。 * * * (1)Lucid Fall / あなたは静かに まずは上でも挙げたルシッド・フォールから。日本盤CDでも冒頭に収められていた邦題「あなた