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【映画感想文】想像と全く違った『オッペンハイマー』
「すごい、面白い」と有名な『オッペンハイマー』。つい最近プライムビデオで解禁されたので見てみた。ちなみにネタバレ注意だ。
私が視聴ボタンをクリックすると右下に数字が出てきた。
「3:00:20」インド映画くらい長い上映時間だ。この180分が過ぎ去った後、虚無がやってきた。
まず一番最初に思ったことは、良い意味で”想像と全く違う”こと。見る前までは「ただの伝記映画だろ、役者と監督が豪華なだけの」と思っていた。
だが蓋を開けてみれば、伝記映画ではなく、『一人の人間を追求した映画』ということに気づいた。
普通の伝記映画ならば、その人の陥落は描かない場合が多いはずだ。描いたにしろ、結局最後はその人を美化して終わる。だがこの映画は違った。終わり方も良いものとは言えない、微妙な感じで終わった。
それはその人を表面的に描いた結果ではなく、追求、追求、追求・・・の賜物なのだろう。どんな業績を残した人間でも表面的には良いものだ。
だが追求してゆくと、その業績を残した人間とは思えないくらいのスキャンダルが浮かび上がってくる。(この映画の場合は不倫など)
また、原爆について詳しく描かれてはいない気がする。もしこの映画が”原爆”について焦点を当てているのならば、広島・長崎の被害を必ず表すはずだ。少なくとも、私はそうするだろう。
だがしかし、ノーラン監督を見くびってはいけない。先述した通り、この映画はあくまで「一人の人間」を追求した映画だ。つまり、一人称視点で描かれる。
これが何を意味するか。それは、「オッペンハイマー博士はアメリカに住んでいたから日本の被害は到底分からない」ということだろう。
それでもオッペンハイマー博士の表情は淀んでいた。彼は被害を予想して原爆開発を後悔していたのだ。彼は実際に広島・長崎に行って被害を見た訳でもない。実際に投下したわけでもない。作っただけだ。それでも彼は後悔していた。
ノーラン監督はあえて一人称にし、オッペンハイマー博士の表情を描いて、反戦を訴えたのだろう。
まとめ
この映画は時間がバラバラで少々意味分からんところもあった。実際、私もよく分かってはいない。しかも180分過ぎ去った後には虚無が訪れる。だから、決して「超面白い作品」とは言えない。
だが、それでも私はこの映画をおすすめする。それはこの映画の奥深さにある。読み解けば読み解くほど映画の趣旨が分かってくるし、とにかく濃厚。見て欲しい。
最後まで見てくださった皆様に感謝。
また、戦没された方々の御冥福を祈ります。
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