プログラムの二次的著作物
事例
ユーザーが既に保有するシステム(本件システム)の保守管理に関する契約において、派生的に開発を含む取引をし、ベンダーが本件システムを構成する既存のプログラム・コード等を利用して新たにシステム(以下「本件新規部分」)を開発した。本件新規部分に関する権利関係はどうなるか(本件新規部分の著作物性は前提とする。)。
条文の整理
二次的著作物
定義 著作権法(以下「法」という。)2Ⅰ⑪
例 漫画の映像化(原著作物:漫画) アレンジした曲(原著作物:原曲)
二次的著作物に関する原著作者の権利
法による二次的著作物に対する保護は原著作者の権利に影響なし(法11条)
二次的著作物を創作する権利は原著作物の権利者が専有する(法27)
二次的著作物の利用に関する原著作者の権利 二次的著作物の著作者と同一の権利(法28)
考え方
本件新規部分は二次的著作物に当たるので、ベンダーは二次的著作物の著作者としての権利を保有する。開発に係る契約で本件新規部分に係る権利をユーザーに移転する約定となっていればベンダーは権利を有しない。他方で、ユーザーは二次的著作物の利用についてベンダーと同一の権利を有する(法28)。
留意点
単純にゼロから開発する場合のプログラムに係る権利と、二次的著作物に当たる場合とでは、法の規律が異なる。
あと、二次的著作物の権利移転を定める場合は、お約束の「特掲」を忘れないこと(法61Ⅱ、法27及び28)。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?