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小説

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主にカノウソウスケ名義で投稿ないし発表した小説を投げます。
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2018年10月の記事一覧

彼女は森の暗がり(3/4)

(承前)

<三>

 夏乃は僕の知っているタイプの人間ではなかった。
 これまで女の子と付き合うということも何度かあったが、夏乃はその誰とも違っていた。女の子たちは自分の話をすることを好んだし、自分に関心を持たれることを何より欲していた。付き合うということすら、そこにいない誰かの関心を惹くことの一手段であったのではないだろうか。だから、一緒にいて僕が安らぐということはなかった。僕はいつだって、彼

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彼女は森の暗がり(2/4)

(承前)

 <二>

 それからの一週間は、何も起こらなかった。
 彼女の父親を森に埋めたなどというのはすべて夢の中のできごとだったのではないかと思われた。
 夏乃は夏乃で、いつも通り他の人々とは位相の違う生活を送っていた。
 そんな彼女の姿を眺めていると、ますますあの晩のことは夢だったのではないかという疑いが増すばかりだった。あの湿気った森の空気、なまぐさい土のにおい、汗の香りといった、そんな

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彼女は森の暗がり(1/4)

 <一>

 茅井夏乃(かやい なつの)のことが気になるのか、といえばたぶんそうだ。可愛いと思うか、と聞かれたら僕は首を横に振る。だが彼女は綺麗だ。
 綺麗といっても、どこか背徳感のある、正面からまじまじと見つめることがなんとなく後ろめたくなるような、そんな美しさだ。魅力といっても普通の女の子の持つそれとは違ってどこか非人間的な得体の知れなさみたいなものがあって、危険な感じがする。だからいわゆる可

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窓の向こう側(後編)

<承前>

 それからの一週間はすぐに過ぎた。ただでさえ速く過ぎていく時間がさらに速度を増したかのようだった。それゆえ、過ぎていく日常はぼやけた遠景のようで、読み流す英文の一節一節が、あるいは数学や国語の問題の一問一問が、確かに頭の中を通り過ぎ処理されていくというのに、何もかもが他人事のようで、自分自身ではない誰かが機械的にこなしているみたいだった。理科や社会の問題を解けば、記憶装置が要求された知

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