256.「盗用」「盗作」「パクリ」「無断」って言葉がありますが、正式にはすべて、「著作権侵害」「著作者人格権侵害」ですよね。
1.今度は信州大学教授が教え子の論文盗用
過去の話かもしれませんが、現在もこのような論文盗用が続いているが、この事件は最低なお話です。
2004年(平成16年)2月6日、信州大学 ( 長野県松本市 ) は、教え子の論文を盗用したとして、同大学教育学部の伊原巧教授 (57)を6カ月の停職処分にしたと発表。
さらにこの教授は自分の代わりに大学院生に授業を行なわせていたことも発覚。
大学側によると、教授が投稿した1995年発行の「中部や地区英語教育学会」の紀要論文76行のうち、92行は当時の教え子だった大学院生の未発表論文の盗用だった。
このことを関係者が指摘し、大学が昨年6月からこの教授に聞き取り調査をしていたという。
教授は、「論文の半分が引用であることを明示していない」との大学側の見解に異議を申し立てなかった。これで教授側がすべてを完全に認めたという形になった。
また、身代わり教授は、多忙を理由に、1997年から2002年の間に計9回あったという。
最低ですね…。
※「盗用」「盗作」「パクリ」「無断」って言葉がありますが、正式にはすべて、「著作権侵害」「著作者人格権侵害」ですよね。大学ってどうなっているの?
2.著作権コラム 「職務発明と職務著作」
現在の職務発明、職務著作制度はずいぶんとあいまいだ。
前回の中村教授の発明報酬は、そのあいまいさにある意味、衝撃を与えた。
2002年9月19日、特許権は日亜側に帰属すると東京地裁では中間判決を言い渡し、中村教授は敗訴した。
これは「勤務中に会社の設備を使い、同僚の手助けを受けている以上職務発明に該当する・・・・」と判断されたが、中村教授側は、特許法第三十五条に規定する職務発明ではなく『自由発明』に当たると主張をくり返していた。
さらに譲渡に関して「発明当時の権利を会社に継承する職務規定があり、従業員と会社の間に黙示の合意があった」と認定され、中村教授側の主張を
退けた。
ここでほとんどの人は会社にすべてのアイデアは自動的に帰属してしまうものだと考えてしまったかもしれないが、知的財産権及びその他ノウハウやアイデア、著作権に関して権利を会社が継承する職務規定を正式に文書で交わしている企業がどのくらいあったのかと考えると、ほとんどが「暗黙の了解」のみで、ほとんどこの職務規定に明確に記載している企業はなかったともいえる。
本来の特許権は発明者に帰属することを前提としているが、職務発明は規定されていても、自由発明はとりわけ規定していない。
中村教授の特許権帰属敗訴に関しての裁判でのポイントは、この発明に関する帰属の部分が、中村教授自らの譲渡に資する個別の譲渡契約が成立していたため敗訴した。
中村教授は当時のテレビの会見では、制度事体をあまり理解していなかった点と、「特許・実用新案登録出願依頼書」の表紙裏側定型印刷された「譲渡証書」欄に中村教授の鉛筆書きの署名がされていたことを認めていた。
しかし、このサインをしていなかったとしたらこの判決はどうなっていたのだろう。
そして、2003年7月15日に先の中間判決を受け、裁判は次の「相当の対価」の算出を争うことになった。
これからは技術者 (アイデアマン)が企業を次々と訴えるのではないかと戦々恐々の時代でもあるが、中村教授の場合の「相当の対価」は特殊なケースであり、エジソン以来の大発明と呼ばれている。
ただ、会社内のアイデアマンたちには新しい希望の光となったことは紛れもない事実といえる。
知的財産権立国宣言と叫ばれるこの日本すべての企業に、この中村教授の裁判は職務発明、職務著作を含む分野においてインパクトある判決にちがいない。これは知的財産権のすべてに該当する。
※注 この著作権noteは1999年からの事件を取り上げ、2000年、2001年と取り上げ続け、現在は2002年に突入。今後はさらに2003年から2020年~2022年に向けて膨大な作業を続けています。その理由は、すべての事件やトラブルは過去の事実、過去の判例を元に裁判が行われているからです。そのため、過去の事件と現在を同時進行しながら比較していただければ幸いでございます。時代はどんどんとネットの普及と同時に様変わりしていますが、著作権や肖像権、プライバシー権、個人情報なども基本的なことは変わらないまでも判例を元に少しずつ変化していることがわかります。
これらがnoteのクリエイターさんたちの何かしらの参考資料になればと願いつつまとめ続けているものです。また、同時に全国の都道府県、市町村の広報機関、各種関係団体、ボランティア、NPО団体等にお役に立つことも著作権協会の使命としてまとめ続けているものです。ぜひ、ご理解と応援をよろしくお願い申し上げます。
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