203.「ダリ」の名前を勝手に商品につかえません「スペイン画家を連想させてしまう」から。
1.大手玩具メーカー『タカラ』が謝罪「本日商標出願取下げの手続しました」ギコ猫はインターネットのコミュニティから生まれた~
「平成14年3月12日付に特許庁へ商標出願の手続を致しました商願2002-19-66『ギコ猫』につきましては本日、出願取下の手続を致しました。お客さまならびにお取引先様に多大なるご迷惑をお掛けしておりますことをお詫び申し上げます」
これは玩具大手メーカー『タカラ』の謝罪文。平成14年(2002年)6月3日、インターネットの力を思い知らせる事件があった。
人気ネット掲示板「2ちゃんねる」で親しまれているキャラクター「ギコ猫」を玩具メーカーのタカラが商標として登録を出願していたことが判明し、これを知ったユーザー側は猛反発した。これを受けて「タカラ」側はおおあわてで同日中に出願取り下げをし、自社のホームページ上で謝罪をした。
タカラが「ギコ猫」を商標として出願したのは3月12日、区分は玩具や文具、アクセサリー、布製品などの商品。
ネット上では6月2日ごろから「2ちゃん」でスレッドが乱立し始め、「自然発生的にネットで育ったキャラクター名を企業が勝手に商標登録するのはフェアではない」「不買運動だ」と反発する書き込みが殺到。
それを受けた管理人。当時のひろゆきさんは3日、タカラに、「『ギコ猫』はインターネットのコミュニティで生まれて広まったものであることをご考慮頂きたい」などとした質問状を送り、「2ちゃん」のトップページも「ギコ猫」のイラストにあえて変更し、抗議の形を一時的だがとっていた。
また「2ちゃんねる」の“2ちゃんねらー”らは、2ちゃんVSタカラの壮絶バトルまで想定していたと思われるが、同日多数の抗議メールを受けていたタカラは、前頁の謝罪文を自らのホームページで発表、さらにあっさりと出願の取り消しの発表もした。
壮絶バトルを期待していた“2ちゃんねらー”はこの対応あまりにもあっさりしていたため拍子抜け。しかし、「批判がおこらなければ、人のモノをそのまま商標登録して商品化していた」と相変わらずの反発の意見が多かった。
また、一方では、タカラの反応のあまりにも素早い対応を評価する声もある。
タカラ広報部ではこの取り下げについて、
「自然発生し、愛されているキャラクターを商標出願したことについては、軽率のそしりを免れない。企業としては早い段階で事実をオープンにし、迷惑をかけたみなさまに真摯 (しんし)にお詫びしたい」とコメント。
有名企業がネットユーザーの抗議に屈した今回の事件は、ネットの社会的影響が強大化している予兆のひとつ。
しかし、現実は、有名企業だからといって安心はできない。
アイデアは次々に盗まれ、数多くの人たちは泣き寝入りしている者も多い。これらのチェックは、わたしたちネットユーザーたちがもっと力をつけねばならない。
インターネットの力を思い知らされる事件。
人気ネット掲示板「2ちゃんねる」で親しまれているキャラクター「ギコ猫」。決して優れたキャラクターではないが、2ちゃんねらーたちにとっては大切なキャラクター。
どうして簡単に商標として出願してしまったのか定かではないが、またタカラには広報部もあったはず、まさか知的財産権に詳しい人がいなかったか?
しかし、この「ギコ猫」にはたとえ無名であったとしても著作権がある。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm9355440
2.おいおい勝手にゲームに「顔」を使わないでくれ!ゲームソフト会社「コナミ」に販売差し止め
平成14年(2002年)8月26日。労働組合・日本プロ野球選手会 (古田敦也会長)は、選手の肖像権を侵害しているとして日本野球機構とゲームソフトでの肖像権使用を独占契約しているコナミに対し、ゲームソフトの販売差し止めなどを求める訴えを東京地裁に起こした。
選手会側は、「コナミから他のゲーム会社への使用許諾が円滑に行われていない上、機構側もこの問題を放置しており、提訴に踏み切った」という。
選手会が野球機構などを相手に訴訟を起こすのは初めてのこと。
訴えによると、コナミは2000年4月から2003年の3月まで、家庭用ゲームでの選手と球団名の使用で日本野球機構と独占契約。『実況パワフルプロ野球』などのソフトを販売した。
こうした契約で多様なゲームソフトが発売されにくくなったとした上で、選手会の許諾を受けないゲームソフトの販売は肖像権侵害だとしている。
これまで各球団は統一契約書があり、第十六条 (写真と出演)を基に選手の肖像権は球団側に帰属しているとの解釈をしているが、選手会側は、
「2000年11月20日以降は選手の肖像権は選手会が管理するとの通知をすでに機構側にしている」と正当性を主張。
ちなみに米大リーグでは選手の氏名、肖像などは選手会が、球団のロゴなどの商標は球団側がそれぞれ管理し、ゲームメーカーが使用する場合は選手会、球団側双方からライセンスを受けている。
今回の提訴について、日本野球機構は、「肖像権の管理、使用は球団と選手が交わす統一契約書で糾弾に帰属しており、選手側から苦情の申し立てはできない」と反論。
日本はアメリカ並みになるのは一体いつのことやら、プロ野球も知的財産戦略が必要。
3.「ダリ」の名前を商品につかえません「スペイン画家を連想させてしまう」
スペインの画家サルバドール・ダリの著作権管理会社(オランダ)が、日本メナード化粧品の知的財産会社(名古屋)による「ダリ」の商標登録を有効とした特許庁の審決を取り消すよう求めた訴訟で、平成14年(2002年)7月31日。東京高裁は、オランダの著作権管理会社側の主張を全面的に認め、日本メナード化粧品の商標登録を無効とする判決を言い渡した。
メナード化粧品の知的財産管理会社は、1994年に化粧品やせっけんなどの商品名として「ダリ(DARI)」を特許庁に出願し、商標登録が認められていた。
しかし、オランダの著作権管理会社はこの商標を無効にするように求めていたが、特許庁は昨年「商標は告語で、画家のDaliとはつづりもちがう—。」として登録を有効と判断していた。
これに対し東京高裁判決は、「日本語でRとLの音を区別するのが難かしく、画家のダリを連想させる—。」と指摘。
「世界的に著名なダリの名声に便乗する意図があると見られてもやむ得ず、故人の名声や名誉を傷つける恐れがある」とも述べ、特許庁の審決を取り消した。
たしかに日本メナード化粧品側にはダリの名誉を傷つけることが目的や、便乗する意図はなかっただろう。
しかし、「ダリ」という名前はあまりにも世界中で有名なため、一般消費者は思わず連想してしまう。
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