十二国記 ~風の万里 黎明の空~
寒波が来ることがありますが、だいぶ暖かくなりましたね〜。早く春が来て欲しいものです。皆さんは最近どんな本を読みましたか?僕はこの記事を書くためにもう一度今日紹介する本を読んでいました。やっぱりいい本は何度読んでも飽きない。面白いまま僕の心に残ってくれています。
さて、今回おすすめする本は…「風の万里 黎明の空」。シリーズの中ではエピソード4として上下巻の2冊で構成されています。前回おすすめしたエピソード1「月の影 影の海」からかなり飛んでしまいますので、内容わかるの?となる方もいるでしょうが心配なかれ、100%わかります!というのも、十二国記はシリーズものとしては一般的なものと少し気色が違いまして、誰か1人の物語ではないんです。舞台になる国も主人公の性別も境遇も身分も全部バラバラ。だからこそ面白いんですけどね。今回の物語はエピソード1の主人公・陽子のその後のお話。どうせなら陽子のかっこいい姿をエピソード1に続きガンガン追いかけていっちゃうのがおすすめです!
【あらすじ】
人は自分のために涙する。
異国にて玉座につくも女王であるが故に日々葛藤に苛まれる陽子。彼女は異国を知るために、市政で生活を送ることを決める。そこで彼女を待つのは重税や苦役に喘ぐ民草だった。
陽子を羨望と嫉妬の眼差しで見つめる少女達。芳国(ほうこく)国王である父が殺され平穏な暮らしを失った祥瓊(しょうけい)は慶国の女王に会うことを決める。海客として苦しい日々を送り続けた鈴もまた華軒(くるま)に轢き殺された友の仇討ちを誓い慶国の女王に会おうと決意する。
運命に導かれ邂逅を果たす少女達は、慶に根を張り、民を虐げ、甘い蜜を吸う官吏達に立ち向かう。彼女達に救いと安寧は訪れるのか。
【登場人物】
①陽子(ようし)
本名は中嶋陽子。慶国国王。しかし無能な女王が続いて荒廃した慶国で厳しい目が陽子に向けられる。信頼し得る官吏も仲間もない朝廷での政(まつりごと)に苦しむ。
②大木鈴
海客。才国(さいこく)で下女として働くが、自分に辛くあたる主人に苦しめられる。同じ海客の慶国女王に興味を持ち…
③ 祥瓊(しょうけい)
芳国国王公主。謀反にあい、父王が殺されたことにより市政での生活を強いられる。宮中での生活との違いに戸惑い、苦しむ。
【主に舞台になる土地】
慶国(けいこく)・才国(さいこく)
芳国(ほうこく)・恭国(きょうこく)
【時代背景】
エピソード1「月の影 影の海」から約1年後、蓬莱の女子高校生中嶋陽子が慶国国王として即位したその後の物語。
【ここが読みどころ!!!】
❶「身分も出身も境遇もバラバラの3人の少女達」
これを楽しまずに何を楽しむ?と言いたいです。3人とも見事なまでに向かおうとする方向はバラバラで、誉められたものじゃあないような内容も多いです。3人が出会えたのは本当に偶然が重なり合った奇跡としか思えません。普通、王は市政で生活なんてしませんしね。
3人とも物語の最初は自分のために涙を流して苦悩します。僕たちからしたらそれはお前が悪いと思うような苦悩もあるんですよ。でも多分、彼女達は本気で辛いんです。だから見える景色が鈍っちゃってる。それでも少しずつ自分ができることとしなければいけないこと、やってはいけないことがたくさんの人と会って、話して、生活して理解できるようになっていきます。それは自分を見つめることだから結構きついはず。僕だって自分の悪いところ認めるの難しいです。大抵の人間はうまくできないことなんですよ。そして彼女たちが物語の終盤に見せるかっこよくて凛々しい姿はきちんと自分を見つめて、反省して、過去を悔やんで、胸を張って前を向こうとした心の表れだと思うんです。彼女達の言葉に背筋がゾクゾクする。何度でもその言葉が聞きたくなる。やっぱり世界のどこかに、あらゆる時代のどこかで本当にこんな物語を紡いだ人がいたような気がしてきます。
❷「3人の少女達と出会う市政の人々」
本当に普通の人達なんですよ、彼女達が出会うのは。畑を耕して、勉強をして、市を開いて、税を納めて、政治に不満を持っていて。そんな今の世の中にだっているような人です。でもきちんと自分の考えを持って意思を貫いて行動できる人達だから、彼女達の何かを変えたのかもしれないです。
➕豆知識
恭国国王にご注目!!
是非是非読んでみてくださいね!
感想を教えていただけたら嬉しいです、それでは!
次回:「東の海神 西の滄海」
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