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シンドイときに思い出す言葉

「流れに逆らおうとするから、しんどくなっちゃうんだよ」と教えてくれた人がいた。

ときどき思い出す言葉だ。
だいたいの会話は、いつの間にか忘れてしまうのに、この時の、この周辺の会話だけは、ちゃんと記憶に残ってる。

彼曰く、人生は山あり谷あり、常に上昇と下降を繰り返しているから、その流れをそのまま受け入れちゃいなよとの事だった。

下に向かっている時は「下に向かってるなー」
上に向かっている時は「上に向かってるなー」
で済ませてしまうと良いらしい。

無理に流れを変えようとすると心に負担がいくから「下降している時は、次に上昇の流れが来るまで、ただじっと待つんだよ」と言っていた。

その人は、きっとそうやって人生をやり過ごしてきたんだろうな。そう思うと、心臓がギュッってなった。

私は「そんなの諦めじゃん」と笑った。「諦めじゃないよ」という返しを期待していた気がする。返ってきたのは「諦めも肝心だよ」という答えだった。

私は、その人の肩の力が抜けた感じを好ましく思っていた。どこかに楽しみを見つけて、いつもヘラヘラ笑ってるところを尊敬してた。

そんな彼も、どこかのタイミングまでは流れに抵抗していたんだろうか。しんどくなっちゃう日があったんだろうか。だとしたらいつ諦める事にしたんだろう。徐々になのか、きっかけがあったのか、すごく気になる。聞いてみればよかった。

でもその時はたしか目的地に着いてしまって、
「私はまだ諦めたくないんで」
と突っぱねて、会話を終えてしまった。

長く会社勤めを続けている人は、意識的に、もしくは無意識に、こういった諦めを習得している気がする。

諦めちゃえば楽になれるのかもしれない。
でも、私はまだ諦めたくないし、人生の流れに身を任せるほど老いちゃいない(と思っている。)

ただ、困難には「立ち向かう」以外の選択肢として「(過ぎ去るのを)待つ」という方法があるのだということを忘れないでいたい。

※追記
このどうしても対処できない状況に耐える能力のことを「ネガティブケイパビリティ」と言うのだそうです。

2024/08/05_81

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暇真
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