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半農半Xと無職、それとしいたけ。

暇真(いとま)です。
今週は半農半Xのプロジェクトに参加するために、秋田県の東成瀬村に滞在している。プロジェクトのスケジュールに沿って行動する事で、退職以降ぐちゃぐちゃだった生活が規則正しいものに矯正されていてうれしい。

秋田県東成瀬村(成瀬ダム付近の様子)

■ 農のある暮し

しいたけ農家さんのハウスの様子

午前中は、しいたけ農家さんの元で農作業をしている。
朝は5時半に起きて、6時に朝食を取り、7時半には宿を出る。幸い、私たちの滞在期間中は一度も雪が降っていないのだけど、外の空気はしっかり冷たくて、目が覚める。

「そうか、健康的な生活とは、肺に朝の空気を取り入れる事から始まるんだっけな」という事を思い出す。無職になってからの私は、この時間はベッドの中だったから新鮮だ。

しいらけの収穫の様子

私たちの仕事は、ハウスで育つしいたけの収穫と選別だ。傘の部分が3cm以上に成長したしいたけを探して、根元から軸を切る。しいたけの成長速度はとっても速いので、ハウス内のしいたけを全て収穫してしまっても、次の日にはまた収穫できる。凄い。

収穫したしいたけは、Aランク・Bランク・ム印・規格外に分ける。傷があるもの、傘に凹みがあるもの、傘が歪んでいるものは全部規格外だ。

味は一緒らしいから勿体なく感じるけど、一応規格外品も買い取ってくれる業者がいるらしい。

収穫したしいたけ

肉厚なものは食感が良く、薄いのは香りが良い。これまで「しいたけなんて、どれも一緒でしょ」と思っていたけど、一個一個見ていくと結構違うなと気づく。自分の中に新しい視点がインストールされるのはうれしい。これからスーパーで買い出しするときは生産者面して吟味しようと思っている。

■ しいたけの消費量と鬱

収穫するしいたけ。かわいい♡

そういえば、秋田はしいたけの消費量が日本一らしい。
1年間に食べるしいたけの量は、2位の茨城県(49.5個)に大差をつけて、秋田県(58.6個)が1位だ。
全国平均(29.1個)の約1.7倍。

しいたけ農家さん曰く「秋田は日照時間が短いから、鬱々とした気分に抗うために、ビタミンDが豊富なしいたけが好まれるのかもしれないね」との事だった。私はこの推察が結構好きだ。もし、無意識のうちに人体がしいたけを欲しているのだとしたら面白い。

私も鬱々とした気分の日は、味噌汁にしいたけを投入してみよう。元気が足りない日は、単にビタミンDが足りないだけかも知れないしね。

お昼以降は山奥の宿に戻って、各々の仕事をする。
宿には共有スペースがあるので、そこで作業したり、ミーティングしたり、雑談したりできるのだ。私は職業訓練の受講とWebライターの仕事をしている。

宿の夜ごはん

夜ごはんは18時だ。食後は温泉に入り、22時には就寝。翌日に備えて、スマホを見る時間もグッと減った。

健康的だな、と思う。
それで、村上春樹の『ノルウェイの森』を思い出した。
主人公の恋人で、精神疾患を抱える直子もたしか、療養施設で同じような生活をしていたはずだ。

■ 半農半Xと無職、それとしいたけ

私はこのタイミングでプロジェクトに参加できて本当に良かった。半農半Xプロジェクトのスケジュールは、精神を回復させたい人との相性が良いと思う。無職になったり、休職したりしたときこそ、こうやって自然や他者と触れ合える場所が必要だ。

私たちが参加しているプロジェクトのように、午前中は農業をして、午後は各々の作業をする社会復帰施設があったら良いのに…なんて妄想した。

皆がいる共有スペースで本を読んだり、編み物をしたり、刺しゅうをしたり、音楽をしたり、再就職のための資格勉強をしたり、職業訓練を受講したりできる施設があったらいい。

そういえば、今回参加した「半農半X実証プロジェクト」は、秋田県の関係人口の拡大や地域への移住・定住を推進するた狙いもあったらしい。

もし、社会からこぼれ落ちてしまった人を積極的に受け入れて、空き家や施設、耕作放棄地を無償〜低価格で貸し出す自治体があったら、移住者も増えそうな気がするけど、そう単純な話でも無いのだろうか。

「地方創生」ならぬ「地方再生」とかいう取り組みがあったら素敵だ。地方の再生と、個人の人生の再生、両方狙うやつ。それで、再起の街としてPRしていくの。

社会からこぼれ落ちた人たちがもう一度人生を立て直すために集まる街だ。最初は集団で農作業に当たって、やり方を覚えたら個人の畑を持って自給して、周囲と物々交換しながら小さな生活を確立していくのはどうだろう。農業してるうちにその土地に愛着も湧くだろうし、同じ施設の仲間と関係性ができてしまうから、離れがたくなるんじゃないだろうか。

そんな事したら社会不適合な人ばかりが集まって、上手くいかないかな。案外、似たもの同士、上手く馴染めたりしないだろうか。なんてことをボンヤリ考えた。

プロジェクトは実質明日で終わりだ。
残り一日、仲間との生活と、しいたけがある暮らしを楽しみたい。

2025/01/23_無職日誌(119日目)

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暇真
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