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さらばCD~でもね~もっと先を考えよう

音楽の円盤衰退から音楽聴取の未来へのお話。

つい先月👇の記事を見かけました。

「さらばCD…」ついに、パッケージ・オーディオは終焉迎えるか…「衝撃的な高音質化」で、ネットオーディオの「第2段階」が幕を開けた

山之内 正氏の記事から( 引用元)(👇の方に全文引用させていただいています)

CDの衰退は、音楽界隈で何度も繰り返されリフレインして言われていることですが、こちらの記事はわかりやすくまとめられているので全文引用した上で、私の見解を残します。

紹介記事は長いですので、後で読んでも大丈夫です。
ディエムの見解を先に見たい方は目次から飛んでください。



「さらばCD…」の記事紹介

類稀なる高音質で、話題になったネットオーディオ。しかし、割高な価格とダウンロードのわずらわしさから一部のマニアにしか支持されませんでしたが、高音質定額制配信サービスの出現で、大きく変わろうとしています。

ベテランと言われるオーディオ愛好家の中にも、CDやレコードなどの「パッケージメディア(パッケージ音源)」によるオーディオなら知識も経験もあるが、ネットワークが重要になった最近のオーディオに関しては、専門用語の意味もわかりにくいと感じている人もいるかと思います。

はじめてネットオーディオに挑戦するオーディオファンや音楽ファンを対象に、機材の選び方、高音質ストリーミングのセッティング、煩わしいネットの設定などなど、聴き放題の“1億曲ライブラリー”を手にするノウハウをご紹介しましょう。

パッケージメディアからネットワークへ

最近では、音楽を聴くのは大好きだけど、CDを1枚も持っていないという音楽ファンは珍しくありません。特に若い世代の音楽ファンの場合、それが普通かもしれません。これは、オーディオの世界にとって非常に重要な変化です。

その「パッケージメディアからネットワークへ」という重要な変化は2010年前後から始まり、わずか15年ほどの間に決定的なものになりました。なぜそれほどの短期間で、このような本質的な変化が起きたのでしょうか?

大きな変化をもたらした最大の要因は、インターネットの普及です。

パッケージ中心の再生からネットワークを利用した音楽再生への移行は、いくつかの段階を経ながらも急速に進み、本書執筆の時点(2024年)でもなお進行中です。2013年刊の私の著書『ネットオーディオ入門』(ブルーバックス)では、2010年前後に始まった第1段階のネットオーディオに焦点を合わせ、音楽を取り巻く環境の変化に注目しました。あらためてその内容を簡単に振り返ってみましょう。

CDからデータ再生への変遷

音楽を聴く手段としてデータ再生を選ぶ音楽ファンが増え始めたのは、2000年前後のことでした。21世紀に入ると音源をインターネットで販売する音楽配信サービスが始まり、ダウンロードして再生するためのプレーヤーが発売されるようになります。北米で2001年に発売されたアップルのiPodはプレーヤーの象徴的な存在で、音源データ配信サービスでは2003年に北米で始まった『iTunesミュージックストア』がさきがけとなりました。

音源をインターネットで販売するサービスは、紆余曲折を経ながら内容が進化していきます。2007年にはイギリスの『リンレコーズ』が音質劣化のないハイレゾ音源の販売に踏み切り、2012年には『アップル』がDRMと呼ばれるデジタル著作権管理を撤廃するとともに音質改善に取り組み、利便性と音質の両面で音楽配信は次の段階に進みました。

CDが抱える長所と短所

音楽配信の浸透にともなって起きた変化は、レコードやCDなど形のあるパッケージメディアの代わりに、デジタル化された音楽データをインターネット経由で購入し、そのデータを直接再生する方法が急速な広がりを見せたことでした。

CDが登場した1982年当時は、デジタル化された音楽データを複製して大量に流通させるためには、音楽データを収納する物理的なディスクが必要で、それが唯一の方法でした。CDはデジタル音源を記録するために開発された非常に優れた媒体の一つです。

しかしCDのようなパッケージメディアを作るためには、大規模な生産設備が必要であり、リスナーの手元に届けるために複雑な流通システムも不可欠です。店頭に在庫がなければ、注文して取り寄せる必要があります。レコード会社のストックが尽きて再プレスが難しい場合は、やむなく廃盤ということになり、聴きたくても購入できなくなってしまいます。最近は実際にそうしたケースが増えているようです。

一方、データ音源はインターネットを介して音楽データを電子的にやり取りできるため、物理的なパッケージや物流システムが不要で、欠品や廃盤も原理的にありません。音源をダウンロードしてハードディスクに保存するだけなので、時間を節約できる上に、ディスクの置き場所を確保しなくて済むメリットもあります。

増え続けるディスクを整理して管理することを目的に、パソコンを使ってCDの音楽データをiPodやスマートフォンに取り込み、データ再生に切り替える音楽ファンが増えました。

ネットワークは、プレーヤーでも有利

ディスク再生は再生機器にも一定の制約があります。デジタル信号を読み取る光学ピックアップや、ディスクの回転機構が不可欠で、どちらも高い機械精度が要求されるため、ハードウェアの開発と生産には専門化された技術と規模の大きな設備投資が求められます。

実際に、光学ピックアップと回転機構を一体化した「メカドライブ」と呼ばれる部品は、ごく限られた企業が生産し、世界中のオーディオメーカーに供給しているのが現状です。

一方、ネットワークプレーヤーはほぼ電気回路だけで製品を構成することができ、ハードウェアとしてのプレーヤーの構成を大幅に簡略化できます。回転機構や読み取り機構など消耗する部品もほとんどなく、故障の要因も大幅に減らすことができます。さらにCDのように、メディアの物理的サイズに制約されることがなく設計の自由度が上がるため、小型化も容易です。

初期段階のネットオーディオはハードルが高かった

初期段階のネットオーディオでは、音源の入手方法は主に2種類ありました。

パソコンを使ってCDのデータを読み込む(リッピング)か、または音楽配信サービスを利用してインターネット経由でダウンロードしてデータ音源を購入する方法です。リッピングやダウンロードで入手した音源は家庭内ネットワーク(LAN)に接続したハードディスク(ネットワーク接続記憶装置:NAS)に保存し、その音楽データ(音声ファイル)を「音声ファイル専用のプレーヤー」またはパソコンで再生するという方法が一般的です。

LANやWi-Fiを介して音楽データ(音声ファイル)をネットワーク経由で受信し、アナログ出力に変換して出力する専用プレーヤーをネットワークプレーヤーと呼びます。

この方法でもディスク再生にはない長所があります。しかし、リッピングやダウンロードのためにパソコンを操作する必要があり、音楽配信サービスから購入する音源のフォーマットを複数のなかから選ぶ必要があるなど、CDにはなかった煩わしく感じる操作も必要になりました。

さらに、「サーバー」(保存したデータをネットワーク経由で送受信する一種のコンピューター)に保存する音源が増えるに従って、膨大な音源を管理する難しさに悩まされるなど、音楽を聴くこととは直接関係のない問題に直面する機会が増えてきます。

早い時期からネットオーディオに取り組んできた先進的なユーザーの多くは、経験を重ねながらそうした問題をなんとか解決し、ストレスなく音楽を楽しんでいます。とはいえ、そうしたハードルの高さに嫌気がさして、再びCDに戻ってしまうという人も少なくありませんでした。そんな消極的な理由でこれからもCDを使い続けようと考えるオーディオファンが存在することからも、いまのネットオーディオが抱える課題が浮かび上がってきます。

販売量が減り、ショップの数も限られているとはいえ、CDはまだまだ現役のパッケージメディアとして広く普及しています。プレーヤーについても、安価な製品が少なくなった面はあるものの、特に日本では良質なCDプレーヤーをいまでも購入することができます。ネットオーディオの本格的な普及が進むまで、CDは重要な音楽メディアの一つとして存続していくはずです。

定額制音楽配信サービスの登場

リッピングとダウンロードを中心とする「第1段階のネットオーディオ」が市民権を得た頃(2012年頃)、ストリーミング方式の音楽配信が登場します。ストリーミング方式とは、聴きたい音源をアルバム単位や曲単位で購入するダウンロード方式ではなく、ネットワークにつないだオンラインの状態で音楽をリアルタイム再生するサービスで、手軽さもあって欧米を起点にして急速に普及が進みました。

無料または有料で音楽を好きなだけ聴けるストリーミングサービスは、ダウンロード方式の音楽配信とほぼ同時期に欧州でサービスが始まった『Spotify(スポティファイ)』がさきがけで、2010年代半ばから2020年前後にかけて北米や日本など他の地域にも普及が進みました。その後アップルやアマゾンが相次いで参入したことで、同様なサービスはさらに規模を拡大し、近年は多くの地域でCDなどパッケージメディアの売り上げを上回るまでの成長を遂げていますが、問題もあります。続いては、ストリーミングサービスの抱えている問題を見てみましょう。

音質や機能の制約をどう考えるか

無料または有料で音楽を好きなだけ聴けるストリーミングサービスは、ダウンロード方式の音楽配信とほぼ同時期に欧州でサービスが始まった『Spotify(スポティファイ)』がさきがけで、2010年代半ばから2020年前後にかけて北米や日本など他の地域にも普及が進みました。

その後アップルやアマゾンが相次いで参入したことで、同様なサービスはさらに規模を拡大し、近年は多くの地域でCDなどパッケージメディアの売り上げを上回るまでの成長を遂げています。

『Spotify』は現在も無料サービスの提供を続けていますが、無料の代償として広告を聞かなければならない上に、音質や機能にも制約があるので、良い音で音楽を楽しみたいリスナーには力不足です。

一方、有料プラン(2024年6月時点で月額980円)は、CDには劣るものの無料サービスより良い音質で楽しめるため、その音質で十分と考える人は少なくありません。

約1億曲という充実したライブラリが聴き放題というサービス内容が音楽ファンに与えるインパクトは強く、定額料金についても、音楽をたくさん聴く人ほど割安と感じられる仕組みになっています。数の上では無料サービスの利用者の方が多いようですが、熱心な音楽ファンつまりヘビーユーザーは、料金を払っても少しでも良い音で、アルバム全曲再生などの無料サービスでは利用できない機能を求めているのです。

有料のストリーミングサービスの意義

このような配信サービスでは、アーティストに適切な対価が支払われることがサービスの継続に不可欠なので、有料契約のリスナーを増やすことは、サービス提供側にも、もちろんアーティスト側にとっても重要な意味があります。

無料の動画配信サービスの利用者が増え続ける現状のなかで、「音楽は無料ではない」という基本的な認識すら危うくなりつつありますが、音楽ファンやオーディオファンが有料のストリーミングサービスを利用することは音楽産業全体にとってもプラスに働くとみなせるのではないでしょうか。

ちなみに有料のストリーミングサービスは「定額制音楽配信」「サブスクリプション」など複数の呼び名がありますが、ここでは有料かつ定額という側面が伝わりやすい「定額制音楽配信」と呼ぶことにします。

オーディオファンには不満な音質

『Spotify』などのストリーミングサービスはスマートフォンなどモバイル端末で手軽に楽しむ用途に向いているため、当初はポップスファンをターゲットとしてサービスが開始されました。

その後ホームオーディオのリスナーが好むクラシックやジャズの音源も徐々にそろってきましたが、CDに劣る音質はオーディオファンを満足させることができず、検索機能が使いにくいなどの課題もあり、多くのオーディオファンには受け入れられませんでした。

そうした背景を考えると、オーディオファンが望んでいるストリーミングサービスは、一定の料金を支払った上で、高音質とさまざまな機能を享受できるストリーミングサービスという構図が浮かび上がります。じつは、拙著『ネットオーディオのすすめ』では、そんなオーディオファンが、良い音で楽しむためにはどうすればよいのかという視点で、具体的な提案をしていますが、このシリーズ記事でもいくつかご紹介していきたいと思っています。

定額制音楽配信の高音質化

定額制音楽配信の利用者が増え始めた大きな理由として、2019年以降、オーディオファンも満足できるCDと同等またはそれ以上の高音質で配信する高音質配信が利用できるようになったことが挙げられます。

国内では『アマゾン ミュージック(Amazon Music)』と『アップル ミュージック(Apple Music)』が相次いでCDと同等のロスレス(音の劣化のない非圧縮音源)、およびCDを上回るハイレゾ(High-Resolution Audio:高解像度音質)での配信に踏み切り、現在はどちらも高音質配信による追加料金は特に設けていません。

また、『アップル ミュージック』はクラシックファン向けの『アップル ミュージック クラシカル(Apple Music Classical)』を開発し、2024年1月以降、日本でも使えるようになりました。こちらも『アップル ミュージック』と同様、高音質音源をそろえています。

固定料金、聴き放題、高音質という3つの条件が重なることで、定額制音楽配信は多様化した音楽再生スタイルのなかで特別な価値を持つ存在になろうとしています。

従来のストリーミングは使い勝手は良くても音質がいまひとつ、ダウンロード方式の音楽配信は高音質だが購入方法と管理が煩雑という具合に、それぞれ一長一短があり、オーディオファンが全幅の信頼を寄せるサービスにはなりきれていません。

そんな時に登場した高音質音楽配信がオーディオファンの評価を獲得できるのか、これからが正念場です。

『アマゾン ミュージック』と『アップル ミュージック』はライブラリの充実度や音質という点でも音楽ファンやオーディオファンの期待に応える内容に進化しましたが、実は世界に目を向けると、この2つ以外にも、『TIDAL(タイダル)』(ノルウェー)、『Qobuz(コバズ)』(フランス)などの定額制音楽配信サービスが音の良い配信サービスとして定着しており、音にこだわる音楽ファンやオーディオファンの支持を集めています。

いずれも日本国内では利用できず、正式なサービス開始が待たれていましたが、2024年秋以降には『Qobuz』が日本でサービスを開始する予定で、『TIDAL』も日本市場への参入を計画しています(2024年6月時点で具体的な時期は未発表)。これらの定額制音楽配信の本命とされるサービスについては、『ネットオーディオのすすめ』で詳しくご説明したので、せひご一読いただきたいと思います。このように、パッケージメディアによるオーディオから、ネットワークオーディオの誕生と、オーディオファンが望んでいるストリーミングサービスへの進化を概観してみました。続いては、ネットワークオーディオの「高音質音楽配信」の楽しみ方について、ご紹介していきましょう。


C.ディエムの見解


CDから定額制音楽配信への移行

時代の流れからすれば、円盤と言われるCD媒体での音楽の流通は縮小されていって、カセットプレイヤーデッキがなくなったのと同じように、いずれなくなると思われます。

しかし、なくなったはずのカセットデッキが今や、どこかの会社がリバイバルという形で世にまた出してきている。世の中の流れとして過去の遺物が再度世に出ることはよくありますが、このことは必然だと思います。

したがってCD媒体が一旦なくなったとしても、CD媒体が世の中にこれまでに流通させてきた素晴らしい音楽コンテンツのすべてがCD媒体として世界のどこかに存在し続ける以上、また市場に出回るでしょう。

その点はあまり心配しないでいいですね。

心配すべきは、定額制音楽配信への移行が一般化されていったときの音楽コンテンツと定額制配信の関係です。


定額制音楽配信がもたらすもの

定額制音楽配信は音質においても進化をしてきています。しかし定額制音楽配信を好まないアーティストもまたおられる。

これは芸術である音楽を商売としたとき、

そのモノの価値 と それらがまとめられた価値 の違いが許せない

C.ディエムの見解

この考え方はアーティストには根強くマイナス方向の感情として存在します。

自身が生み出したモノの価値がまとめられてしまう、もっと悪く言えばまとめて価値が下げられてしまう。これはクリエイターにとっては認めがたい事実であり、当然の感情。

定額制音楽配信のこれからは、配信元がアーティスト側つまりコンテンツ提供者に対してどれだけ真摯に向き合っていけるか?にかかっているのではと思えるのです。

noteも同じですね。

一生懸命時間をかけた記事はそれ相応に価値を持つはずです。価値は需要でも決まりますが、クリエイター側も価値を決める要素を持っています。

もちろんマネタイズを考える以上はパッケージ化は選択のひとつではありますが、クリエイト側としては

これだけは譲れない、唯一の価値性を持たせたいコンテンツ

これを大切にしたい。いや、してほしい。

これを手放してしまったら、クリエイターではなくなる自分に気づいてしまうんですね。だからこの譲れないラインだけは、クリエイトする立場に少しでもある人は持ち続けてほしい。そして配信元(noteで言えば運営さん)はその想いにしっかりと寄り添ってほしいと願っています。

そして、唯一性の価値を持つコンテンツに対してそれを期待する人(見たり聞いたりする人)は、尊敬の気持ちを以って鑑賞・購入し、コンテンツとして存在するそれに出会えた幸せと、今後の世界に残していくべきそれを伝える ということに少しでも力を配分していただければ、音楽に限らずコンテンツ提供という道に居る人たちに対してとてもよい環境を与えてくれることになると思います。


数十年単位の音楽界の変遷でも変わらないこと

私も音楽界隈に長くかかわってきましたが、演奏環境・聴取環境は時代の流れとともに変わってきました。便利になったこともあれば、不便になったこともあります。

でもそれらを理由にして「昔の方がよかった」などど回顧主張を繰り返すだけではこれからの音楽界は進歩しないし、昔を無視して「今が最高」などとするのもまた、音楽界は進歩できない。

音楽の中心には「人間」が存在し、人間がいるからこそ芸術の一つである音楽も存在する。音楽は「文化」の一つでしかないんですね。

だから音楽界隈がいろいろな変遷を遂げていったとしても、人間の本質として変わらないものを持てていれば音楽の世界もまた、良き方向に向かっていけるのではないかなぁと考えています。

現時点の考えですけどね^^。まぁ今後もめったなことでは変わることではないでしょう。

小難しく書きましたが、自分が楽しみたい分野の背景を知ることはとてもよいことで、とてもいい副産物を自分に与えてくれます。

私は音楽がそれですが、みなさま各自いろいろな分野をもたれていると思うので、その分野の背景に目を向けてみたらいいかなぁって思います。


#noteの今後 #音楽 #音楽の今後 #CDの衰退 #音楽文化 #クリエイター

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