Rye さんの Note 記事「原書のすゝめ: #9 The Promise」に魅かれて、私もモームを読んでみたくなりました。前回読んだのは私の読書記録リストによると 2013 年の"Sanatorium" (Collected Short Stories Vol. 3) 以来ということになります。今回は、モームの作品がぞろぞろと無償でダウンロードできるようになっていることを発見することにもなりました。日本語ウィキペディアのサイト、サマセット・モームの記事に archive.org などの公開サイトが紹介されています。きっかけを与えて頂いたRye さんに大感謝です。
1. モームの文章を正確にとらえたい。
見慣れたはずの英単語がその文章の中で何を意味しているのか、IT、 THEY などの代名詞が何を指しているのか、まるでクイズか中高生時代の国語の試験問題のようでもあります。
しかし、その意味をきっちりと理解し尽くすとその主張の中身がなんとも面白くて読み進まざるを得なくなります。物事が混在する世間・社会、あるいは初めて訪れた街、そんなところに潜んでいる私には思いもよらなかった人々の関係・小道の存在を教えてくれるような語りです。さすがにモームの文章だと思わずにはおれないおもしろさです。この種のおもしろさは「世界文学」を定義しなおされた池澤夏樹氏の発想や Rushdie 並びに Bellow の作品にあっては、むしろ棚上げされている種類の要素であるかと私は認識しています。そんな認識を維持しながらも、頭の体操のようであるからして、私にも、モームを楽しむことはできるのです。
2. ジェームズ・ジョイス「ユリシーズ」への言及があります。
コロンビア大学の二人の教授が書き上げたばかりだと言う書籍「Modern Fiction」が送られてきたとして、その教授たちの小説批評の欠点を取り上げ叩きます。同時に小説が担う役割が「読者の Entertainment」だと論じます。話は進み次には、James Joyce の "Ulysses"、例の「意識のながれ 'stream of thought'」 を物書きが利用できる技術の一つで一時のはやりと整理・評価します。「意識の流れ」が重要なもの(小説技術?)として今でも話題('To the Lighthouse' を訳された鴻巣友季子氏の解説にあったと記憶します)にされることに消化不良を感じていた私にはよい助け舟を得た思いです。
3. Study Notes の無償公開
Somerset Maugham の短編集「Cosmopolitans」の序文Preface 全6ページに対応する私の Study Notes です。辞書引き時間の節減に役立つと思います。