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【新執行役員対談】プロダクト・組織に共通するNOT A HOTEL“らしさ”

2024年5月、NOT A HOTELは新たな執行役員を7名発表した。そこには、創業期からプロダクトマネージャーとしてソフトウェア開発を担ってきた八代嘉菜がCPO(Chief Product Officer)に、一人目のHRとして事業拡大に貢献してきた冨永麻美がCHRO(Chief Human Resource Officer)に名を連ねている。

二人は、事業や組織の過渡期においてどんな経験を重ね、どんな成長を遂げてきたのか? 就任発表から約二ヶ月。これからの展望を踏まえ、彼女たちのまなざしを聞く。


目の前の仕事に本気で向き合ってきただけだった


―八代さんは入社3年、冨永さんは入社2年での執行役員就任です。オファーを受けたとき、率直にどう感じましたか?

冨永:代表の濵渦さんには以前から「次はCHROだね」と冗談のように言われていたんです。どこまで本気で言ってくださっているのかはわからなかったものの(笑)、そんなふうに期待を寄せて仕事を任せてくれていることは、当時からうれしかったですし、同時に責任も感じていました。

八代:私にとっては結構なサプライズ人事でした。年初に開かれた全社オフサイトで濵渦さんから「組織のレベルを上げるために、みんなの役割を一つ上げていこう」というようなメッセージを受けていましたが、それにしても突き抜けたアサインだなと……。働くなかでいつかそういう役割に恵まれたらいいなとは思っていたし、そのために目の前のことにも取り組んではきてはいましたが、想像以上に早くにチャンスをいただいたと思います。

八代 嘉菜:メルカリにてインターンとして新規事業立ち上げを経て、新卒入社。その後メルペイに異動しKYCやIDPチームのPdMを務める。2021年6月NOT A HOTEL参画。主に社内向けオペレーションツールの開発を担当。2024年5月、執行役員 CPOに就任。

冨永:ただ、錚々たる経歴の役員陣に仲間入りをするのはプレッシャーも大きくて……でもやっしー(八代)が同じタイミングで就任するって聞いたから、一緒だったらお互いをサポートしながら頑張れそうだなと思いました。仕事の帰り道、たまたま駅でやっしーと二人っきりになったとき、お互いの心境を打ち明けあったよね。

八代:あの時間には本当に励まされたなぁ。それに、私たちは二人とも「役員になりたい」と思って仕事をしてきたのではなく、目の前の仕事に向き合ってきただけなんですよね。つい先日、夫から「自分の評価とかじゃなくて、会社としてどうすればいいかをいつも考えているよね」と言われたことがあって、その視点に集中してこられたのはNOT A HOTELの評価軸やメンバー全員がその視点を大切にしていたからだと思うんです。そうした仕事の積み重ねが、CPOとしての役割に繋がったんだと思っています。

―CPO/CHROというポジションの役割については、今回どのようにとらえましたか?

冨永:私はCHROがいる会社で働いたことがなかったので、そもそもCHROとは何なのかを考えるところから始めました。それでたどりついたのは「NOT A HOTELが目指す世界観の実現を、人・組織からリードする」という役割です。役員になったことで、視座を引き上げてもらった感覚はありますね。これまでは“点”の施策を打ってしまったこともあったけれど、今後はあらゆる手法で“線”や“面”のアクションをしていかなければと思っています。

冨永 麻美:立教大学経営学部卒。クックパッド株式会社にて、採用・採用広報・PR・マーケティングに従事。2022年3月よりNOT A HOTEL参画。一人目のHRとして採用・労務・制度企画を担う。2024年5月、執行役員CHROに就任。

八代:たしかに視座は上がりました。いままで以上に広く、先を見ないといけなくなったぶん、プレイヤーのときとは判断も変わってくると思っていますね。

NOT A HOTELにおけるCPOの役割は、ソフトウェア領域だけでなく、NOT A HOTEL全体としてどんな体験を目指していくのかを考える役割だと感じています。それこそ建築からセールス、運営まで、体験に直結するあらゆる領域を一気通貫でよいものにする。これがNOT A HOTELのCPOとして目指す役割じゃないかなと思っています。

すべての常識を“超えて”いく


―二人が考えるNOT A HOTELの人や組織、プロダクトの魅力は?

冨永:NOT A HOTELの人事が楽しいのは、こんな組織はほかにないと胸を張って言えるからです。私たちは土地探しからお客さまのチェックアウトまで、何ひとつ妥協せずに「超ワクワクする体験」を全員で目指しています。それを生み出すためには、さまざまな専門性や価値観を持ったメンバー同士のコラボレーションが必要です。誰が欠けてもバランスが崩れてしまうような、絶妙な組織の魅力があります。それから、みんなとにかくいい人! 

八代:わかる!!

冨永:ね(笑)。全員が先回り力や人に喜んでもらいたい気持ちを持っているから、拠点が離れていたり、フルリモートだとしても円滑に働けるんだと思います。

八代:「みんないい人」をかみ砕いていくと、メンバーの誰もが「NOT A HOTELで提供するならこのクオリティ以上を目指そう」みたいな感覚を共有していて、ポジティブに動いているということなのかもしれません。意見が割れたときも、とことん話し合って、最終的には納得して前に進める。そうした一貫性のあるチームがつくるプロダクトはちゃんと価値が出せるし、感動体験につながっていきます。

冨永:そうやって魅力的なプロダクトをつくるための道のりこそが、魅力的な組織をつくる過程にもなっていくんだろうと感じますね。「すべての常識を“超えて”いく」というプロセス自体が、一番のチームビルディングや文化形成になるって、みんな思っている気がするんです。

プロダクトや組織の意思決定、何を一番に考える?


―二人が得た成長やマインドの変化についても聞いてみたいです。そもそもプロダクトの意思決定をするなかで、何を一番に考えていますか?

八代:お客さまに対して「NOT A HOTELとして最大限の価値を提供できるか」と「それは本当にNOT A HOTELらしい価値なのか」を最優先に考えています。そのためには、声の大きさや量だけにとらわれず、少ない声も取りこぼさない対応が必要です。お客さまからいただく滞在後のアンケートは、職種に関係なく多くのメンバーが確認しています。

―たとえば、どんな声がどんな意思決定に反映されてきたのでしょう?

八代:最近は、愛犬と一緒にいらっしゃるお客さまが増えているので、予約情報にあらかじめ愛犬のサイズや体型をヒアリングする機能を追加しました。頭数は以前から伺っていましたが、サイズ感によって、お迎えするときに必要な準備が変わってくるためです。「わんちゃんも家族の一員だから」といったオーナーや現地運営の声は、量としてはさほど多くないけれど、お客さまの体験をよりよくするために重要な改善だったと思っています。

仕事終わりに建築・ソフトウェア・セールス・コーポレートなど、さまざまなチームの花見を楽しんだときの一枚

八代:NOT A HOTELでは最高の体験を生み出すために、イレギュラーを受け止めてよりよい解決策を探すことが大切なんです。「この問題ってそもそもどうして起きてるんだっけ?」「どうすれば、お客さまが一番うれしいんだっけ?」と根本を見つめ、サービスを柔軟にアップデートしていくことこそ、NOT A HOTELらしさの真髄だなと思います。入社以来、さきほどの事例のように「これまでの常識にとらわれず、NOT A HOTELらしい考え方を機能に落とし込むか」といった開発を続けるなかで、私自身の価値観も変化してきました。

―ではHRはどうですか?

冨永: NOT A HOTELのビジョンや事業目標を達成していくためには、プロダクトとともに組織も成長していかなければなりません。そこで大切にしているのは、バリューの一つでもある「超自律」の再現性を高めるために何が必要か? という視点です。敷かれたレールの上で受動的に仕事をするような環境では、事業や組織の成長はすぐに頭打ちになってしまいます。

だからこそ、いかに一人ひとりが自分のなかに炎を燃やし、内発的なモチベーションを持ち続けられるかが重要です。働くメンバーがいつも超ワクワクしていられるか、ここにいれば成長し続けられる環境になっているか……その再現性を高めることが、常識を超え続けていくための起爆剤になります。

―そのために、具体的にはどんなアクションを取っているのでしょうか?

冨永:異業種から初めての転職で入社してきた自分自身をペルソナにしたり、各メンバーとの面談からモチベーションのあり方や成長のタイミング、超自律できた要因などを洗い出したりして、環境を整えています。

また、全体の目標からチームや自分のアクションプランを練っていけるように、その動きをサポートするような年間コミュニケーションを設定し、一つひとつの仕事を全社目標に結びつけていく定期的な進捗確認の機会などを設けています。自律性や自主性を重んじるために、個人の目標を誰かが管理したり、1on1を強制したりするようなことはあえてやりません。

やりたいことが拡張され続けるのが、NOT A HOTEL


―創業期からNOT A HOTELを見てきた二人に、いま会社がどんなフェーズにあるのかを踏まえて、それぞれの領域の課題を伺いたいです。

冨永:これまでHRの課題は採用がメインでしたが、最近は採用に加えて定着率を高めるオンボーディングや、人や組織が成長を続けるための施策が重要度を増していると思っています。NOT A HOTELでは入り口はジョブ型の採用が主ですが、入社後は本人の熱意やポテンシャルによって仕事の領域がどんどん広がっていくんです。社内には「一番、その領域に熱量があって、やり切れる人」に仕事を任せる風土があって、実際に役割が変わっていった事例がいくつもありました。

ここからはすべてのメンバーに、更に活躍の道を切り拓いてもらえるような「超自律の再現性」が、ポイントになってくると考えています。そのために必要なのは、超自律や超ワクワクが日々のなかで最大化され、自発的かつ当たり前に起きている状態です。そんな文化の醸成に今後は注力していくつもりです。

八代:「すべての人にNOT A HOTELを」というミッションを考えると、ソフトウェアや体験づくりは、これまでの何倍もユーザーを増やす想定で挑まなければいけません。すでに発表されている海外向けのサービスも含む、複数の新たなビジネスが立ち上がっていくなかで、既存のスキームを拡大するだけでは、うまく機能しないピースも増えていきます。

30名を超えるソフトウェアチームは、日々「NOT A HOTELらしい体験」を追求している

八代:「NOT A HOTELらしい体験」というコアを保ったまま、それを形づくるすべての仕組みを見直すタイミングがいまだといえます。ただ、スピード感もまだまだ大切だから……何万ピースもある複雑なパズルを、超高速で組み立てていくような感覚がありますね。でも、かんたんな解決策がないからこそ面白いし、それを自分たちの手でゼロからつくり上げていく楽しさがあります。

冨永:私自身も社内のさまざまな仕事に取り組んでいくなかで、以前から興味のあった組織づくりを担えるようになってきました。ただ、つねに期待を超えていかないといけないからゴールはどんどん遠のいていくというか……次の旗がどんどん見えてくるから、止まれないんです(笑)。

八代:それが大変でもあり、面白いところでもあり、ですよね。CPOになって、新卒のときから漠然と抱いていた「プロダクト全体を見るポジションがしたい」という目標には挑戦できるようになったので、ここからは、個人としての新しい目標も探していくつもりです。NOT A HOTELらしい価値を妥協せずにつくり続けていくうちに、きっと次のステージが見えてくるんじゃないかな、とも思ったり。仕事を通じて「一人ひとりにそういう機会を生み出せている」ということ自体が、とてもNOT A HOTELらしいなと感じます。

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STAFF
TEXT:Sakura Sugawara
EDIT/PHOTO:Ryo Saimaru

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