映画『GO! GO! L.A.』（1998年）のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル：GO! GO! L.A.
原題：L.A. without a map
製作年：1998年　イギリス・フランス・フィンランド
監督：ミカ・カウリスマキ

映画『GO! GO! L.A.』は、

一目ぼれした女性を追ってイギリスの片田舎からロサンゼルスにやって来た青年をめぐるオフビートな恋愛コメディ。

監督はフィンランドのミカ・カウリスマキ。謎に豪華な脇役と弟アキ作品へのオマージュも見どころの1本です。

キャスト

・デヴィッド・テナント（リチャード）
イギリスの片田舎の葬儀屋　脚本家志望

・ヴァネッサ・ショウ（バーバラ）
L.A.から旅行に来ていた女優の卵　

・ヴィンセント・ギャロ（モス）
L.A.にやって来たリチャードを助けるギタリスト

・ジュリー・デルピー（ジュリー）
バーバラの親友

・キャメロン・バンクロフト（パターソン）
L.A.の映画監督

・ジョニー・デップ

・アヌーク・エーメ

・イエジー・スコリモフスキ

・レニングラード・カウボーイズ

映画『GO! GO! L.A.』の見どころと感想

イギリスの片田舎で葬儀屋を営むリチャード。ある日、旅行客で女優の卵のバーバラに一目ぼれ。「もっとエキサイティングでロマンティックな生き方がしたい！」とバーバラが暮らすロサンゼルスへ移り住むことに。

が、訪ねあてたバーバラは映画監督のパターソンと親密な関係。慣れないアメリカ生活に何かと世話をしてくれるモスと知り合い、やがてバーバラと結婚。が、バーバラには依然パターソンとの関係がー。

評）ゆるい恋愛パートと並行して描かれる夢を追う現実の皮肉

弟アキ・カウリスマキ監督に比べ知名度も（おそらく作品の評価も）今一つのミカ・カウリスマキ。私自身も「初ミカ」となったこの映画。嫌いじゃない、いや、好きなタイプの映画です。

一目ぼれした彼女を追ってL.A.にやって来たリチャード。脚本家になりたいという思いもどこか現実逃避の匂いが。

L.A.であっさり再会して結婚する2人。その恋愛ストーリーとしての薄さが、自分探しや社会、カルチャー的な見どころを浮き上がらせてきます。妻となる女優の卵バーバラの仕事っぷりに描かれているように「夢」だけじゃどうにもならない皮肉な現実。

が、何が皮肉ってこのキャストですよ。
主演の2人の誰？感（スイマセン、後付けで調べました*）がぬぐえないまま存在感あり過ぎのヴィンセント・ギャロとジュリー・デルピ（DVDのパケ写はこの2人が主演かと思わせる仕様）。

（*デヴィッド・テナントはイギリスで舞台を中心に活躍する俳優。TVドラマ『ドクター・フー』（2005－10年）で大人気に。ヴァネッサ・ショウは本作以後も映画出演作あり。）

リチャードが憧れてやまないジョニー・デップ（めちゃ贅沢使い）やポーランドの映画監督（兼俳優）のイエジー・スコリモフスキ、フランスの大女優アヌーク・エーメも本人役で登場。そしてアキ作品でおなじみのカルトバンド、レニングラード・カウボーイズが登場し、ギャロとのセッションも。

アキ作品へのオマージュといえば、序盤でリチャードとバーバラが見る映画は『ラヴィ・ド・ボエーム』（1992年）でマッティ・ペロンパーがスクリーンに映し出されます。

そしてリチャード他4人で乗り込む車に同じシチュエーションの『愛しのタチアナ』（1994年）を思い出す。まったく真逆のテイストなのに生き方を模索する姿が重なります。

アキだけじゃなくミカもイイよ。映画『GO! GO! L.A.』ぜひ。