映画『スコルピオンの恋まじない』(2001年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『スコルピオンの恋まじない』は、
保険調査員の独身男と社内改革に乗り込んできた女性重役が、催眠術をかけられたあげく窃盗事件や恋愛騒動に巻き込まれる話です。
ウディ・アレン自身は「こんなに才能豊かなキャストに恵まれながら、それを活かせなかったのは残念でならない」と、自身の最低作品のひとつと評価していますがー。
キャスト
・ウディ・アレン(C・W・ブリッグス)
保険会社調査員
・ヘレン・ハント(ベティ=アン・フィッツジェラルド)
保険会社の新重役
・ダン・エンクロイド(クリス・マグルーダー)
保険会社社長
・シャーリーズ・セロン(ローラ・ケンジントン)
保険会社の顧客
・ウォーレス・ショーン(ジョージ)
ブリッグスの同僚
映画『スコルピオンの恋まじない』の見どころと感想
1940年のニューヨーク。保険調査員のC・W・ブリッグスは古いやり方が原因でリストラの対象に。新重役のフィッツジェラルドに直談判しますが、まったく相手にされません。
そんなある日、同僚ジョージの誕生パーティの余興で催眠術をかけられてしまう2人。犬猿の仲の2人が催眠術によって相思相愛になることを周りは喜びますが、実はフィッツジェラルドは社長の不倫相手。さらにパーティの後も催眠術が潜在的に効いた状態のまま。催眠術師ヴォルダンに電話でコントロールされたブリッグスは、顧客の家に侵入し宝石強盗を犯します。
自分が強盗犯と思いもせず、嬉々として保険調査員として調査に乗り出すブリッグス。警察の捜査によりブリッグスの犯行が濃厚となるなか、疑いきることのできないフィッツジェラルド。
そしてそのフィッツジェラルドもー。
評)ウディ・アレンは「最低の出来」というけれど、そんなことはないって!
前述のように、ウディ・アレン自身は残念な作品と評価するこの映画ですが、私は好きです。アイデアは最高に面白いし、1940年代の雰囲気作りも見ごたえがあります。その美術やなんやらで結構な製作費がかかってしまい、興行収入はイマイチで大赤字になってしまったことも評価できない点なんでしょうけどね。
相手役は『恋愛小説家』(1997年)でジャック・ニコルソンを相手に好演したヘレン・ハント。長身でクールに見せつつ、やさしい笑顔が魅力的。
もちろんウディ・アレンの吃音交じりの屁理屈、詭弁は健在で、シャーリーズ・セロンにも慕われる役という自己愛ももはや微笑ましいレベル。これは当時65歳、もともとの風貌がいよいよ ”おじいちゃん” になってきたウディ・アレンを温かく見守る映画なのです。
もうおひとり、私の好きな ”おじいちゃん” ウォーレス・ショーン(『ゴシップガール』のサイラス役)も出ています。
最低の作品なんてことはありません。ぜひお楽しみください。