映画『カポーティ』(2005年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『カポーティ』は、
作家トルーマン・カポーティが新境地を開いた問題作「冷血」の執筆背景を描いた映画です。カンザス州で起きた一家惨殺事件に興味を持ったカポーティは、死刑囚となった犯人に取材を続けるうちに友情を抱くようになりー。
2014年に急逝したフィリップ・シーモア・ホフマンがオスカーを受賞した作品です。
キャスト
・フィリップ・シーモア・ホフマン(トルーマン・カポーティ)
作家
・キャサリン・キーナー(ネル・ハーパー・リー)
トルーマンの幼馴染の親友 作家
・クリフトン・コリンズ・Jr(ペリー・スミス)
殺人事件の主犯 死刑囚
・マーク・ペルグリノ(ディック・ヒコック)
殺人の共犯者
・クリス・クーパー(アルヴィン・デューイ)
事件の捜査官
・ブルース・グリーンウッド(ジャック・ダンフィ)
トルーマンと同棲中の恋人 作家 妻子あり
映画『カポーティ』の見どころと感想
1959年。カンザス州で起きた一家惨殺事件に興味を持ったカポーティは、親友で作家のハーパー・リーとともに現地での取材を始めます。
ほどなく逮捕された二人組の犯人。そのうちの一人ペリー・スミスへに対し、自身の不遇な生い立ちを重ねてみるようになるカポーティ。ペリーを救いたいと思う一方で、事件を題材にした小説の完成を急ぐカポーティは、早く刑が執行されることを望むようになります。
カポーティは葛藤のなか死刑執行に立ち会い小説を完成させますがー。
評)「冷血」さを秘めるカポーティとそれを演じたホフマン。2人の天才の軌跡
トルーマン・カポーティがどんな人物で、作家であるかー。この映画は「冷血」の執筆背景に焦点を絞ってその複雑な人物像を描いていきます。
カポーティをまったく知らないとアレなのでザックリと補足しておきますと、カポーティは幼少期に両親が離婚し親戚を転々としながら成長。独学で小説を学び10代後半でデビュー。若き天才作家としてたちまち注目を集めます。
オードリー・ヘップバーン主演で映画化された『ティファニーで朝食を』などのヒット作を生み出し、華やかな交友関係やゴシップで社交界のアイドル的存在に。同性愛者であることも公言していました。映画のなかでも社交界でハイテンションに振舞うカポーティが描かれています。
そんななか新しいジャンルとして取り組んだノンフィクション小説「冷血」。取材に訪れたカンザス州では同性愛者であることを隠すために友人の女流作家ハーパー・リーを同行します。このハーパー・リーは後に人種差別を描いた小説「アラバマ物語」(こちらも映画化されています)を発表した作家です。「アラバマ物語」に登場するディルはカポーティがモデルと言われています。
死刑囚との友情と作品の話題性の葛藤に苦しむカポーティ。話術には長けているけれど心が見えない「冷血」さを併せ持つカポーティ。それを繊細に演じたホフマンがホントに見事です。立ち姿(しかも後ろ姿)だけで同性愛者であることを表現するシーンはかなりの衝撃です。
カポーティは、晩年は酒と薬に溺れ1984年に59歳で死去。本作でカポーティを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンは、以後多くのヒット作に出演していましたが2014年薬物の過剰摂取で46歳で死去。
二人の天才の軌跡をぜひ。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?