映画『マジック・イン・ムーンライト』(2014年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『マジック・イン・ムーンライト』は、
世界的有名マジシャンが若くて魅力的な霊能力者に翻弄されるラブコメディです。
ウディ・アレン監督おなじみの厭世的で皮肉屋な中年男性の不器用な恋。その中年男性を演じるのは、イギリスが、いや世界が誇る人気俳優コリン・ファースです。ウディ・アレン✕コリン・ファースの相性やいかにー。
キャスト
・コリン・ファース(スタンリー・クロフォード)
イギリス人マジシャン
・エマ・ストーン(ソフィ・ベイカー)
アメリカ人霊能力者
・サイモン・マクバーニー(ハワード・バーカン)
スタンリーのマジシャン仲間
・ハミッシュ・リンクレイター(ブライス)
キャトリッジ家の御曹司
・マーシャ・ゲイ・ハーデン(ベイカー夫人)
ソフィと行動を共にする母
映画『マジック・イン・ムーンライト』の見どころと感想
舞台は1920年代後半。世界的に有名なイギリス人マジシャンのスタンリーは、旧友のハワードから、ある霊能力者の正体を暴いてほしいと頼まれます。
その霊能力者はアメリカ人のソフィー・ベイカー。コートダジュールの大富豪、キャトリッジ家がソフィーにご執心で、息子のブライスはソフィーにプロポーズしようとしていると。
霊能力など信じないスタンリーは、ソフィーのペテンを暴くためにハワードとともにコートダジュールに赴きますがー。
評)ウディ・アレン監督が完全に ”置きにいってる” ロマコメ
ウディ・アレンはこれまでも多くの映画でマジックやマジシャンを題材にしてきました。
『スコルピオンの恋まじない』(2001年)や『タロットカード殺人事件』(2006年)を彷彿させるこの映画。コリン・ファースが高慢で偏屈な中年マジシャンを端正に演じ、エマ・ストーン演じる霊能力者も最高にキュート。
が、ストーリーは冗長で退屈。ウディ・アレン的主人公をコリン・ファースが演じるとどうなる? といった期待も不安もあったけれど、いやいや普通にコリン・ファース。どんなにひねくり倒しても、早口で皮肉を言いまくっても、そこにいるのはシュッとして知的なイギリス紳士なわけですよ。序盤の中国人設定も、ちっとも効いていない。
で、結構年下の女性と恋に落ちる、往年のラブコメのようなあるある。
美しい景色(ホントにキレイですよ!)の中、美しい男女がオシャレな恋をするー。もう、それだけの映画ですっ! そう思って見れば腹も立たんでしょう! いや、立つわ!
死や霊的存在をどうとらえるか、根底にはそういったウディ・アレンらしいテーマもあるようですが、あまりに主役二人の”元来の魅力”に寄りすぎていて物足りない。面白いのは、頭の悪い息子のブライスだけ。笑いもひねりも足らん! なのに土砂降りで天文台にー、というシーンで『マンハッタン』(1979年)を彷彿させようという小細工!
引き続きエマ・ストーンが出演する『教授のおかしな妄想殺人』(2015年)といい、完全に”置きにいっている” ウディ・アレン。エマ・ストーンが悪いわけじゃない。むしろイイ! もったいない。もっと昔の、せめてスカヨハが出演した当時のウディ・アレン作品だったら......。
80歳を超えて、自身が出演しない映画を撮るようになったウディ・アレン。人気俳優の魅力を存分に引き出す映画を作り、見る人にロマンチックな気分を味わってもらいたいー、なんてことを考えているんでしょうか。
が、残念なことに、この映画の後でウディ・アレンの養女に対する性的虐待問題が取り沙汰され、コリンは「今後はウディ・アレンとの仕事はしない」と断言。 皮肉......、まざに事実は映画より奇なり。
さんざん酷評はしましたが、ロマンティックがお好きな方にはおすすめの映画『マジック・イン・ムーンライト』。ぜひお楽しみください。
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