映画『ペイド・バック』(2010年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『ペイド・バック』は、
ナチス戦犯の医師の捕獲任務の末、射殺したイスラエルモサドの3人。が、30年が過ぎ真実が暴かれようとしー。
2007年のイスラエル映画『The Debt』をハリウッドリメイクしたスパイサスペンス。緊張の展開とスリリングな関係性、そしてクールなジェシカ・チャステインが見どころの1本です。
キャスト
・ヘレン・ミレン(レイチェル・シンガー/1997年)
イスラエル、モサド工作員
・ジェシカ・チャステイン(レイチェル・シンガー/1965年)
当時25歳
・キアラン・ハインズ(デヴィッド・ペレツ/1997年)
モサド工作員
・サム・ワーシントン(デヴィッド・ペレツ/1965年)
当時29歳
・トム・ウィルキンソン(ステファン・ゴールド/1997年)
モサド工作員(部隊長) レイチェルの元夫 車椅子生活
・マートン・チョーカシュ(ステファン・ゴールド/1965年)
当時最年少の部隊長
・イェスパー・クリステンセン(ディーター・フォーゲル)
ナチスの収容所、ビルケナウの医師
・ロミ・アブラフィア(サラ・ゴールド)
レイチェルの娘 レイチェルの功績を出版
映画『ペイド・バック』の見どころと感想
1997年のイスラエル、テルアビブ。かつてモサドとして活動していたレイチェルは、ある作戦で成功をおさめていました。娘サラがその偉業を本にして出版。その出版パーティで一節を朗読するレイチェル。
1965年、レイチェルはデヴィッド、ステファンとともにナチス戦犯の外科医ディーター・フォーゲルを捕えるために東ベルリンに潜入。計画の末フォーゲルを捕獲した3人は東ベルリンからの脱出まで隠れ家に潜伏生活を続けます。
交代で食事の世話や見張りをする3人。互いに惹かれあっていたレイチェルとデヴィッドですが、長く続く潜伏生活に精神的に不安定になっていたレイチェルはステファンと関係を持ってしまいます。3人の関係を見抜き精神的な揺さぶりをかけてくるフォーゲル。
フォーゲルに挑発され殴りつけてしまうデヴィッドと、これを引き離し外に連れ出したステファン。室内に残ったのはレイチェルのみ。隙を見て逃亡を図ろうとしたフォーゲルを格闘の末、射殺したレイチェル。
そして30年後ー。
評)ジョン・マッデン監督の ”ジェシカ・チャステインはこう撮れ!” 的1本
以後30年、偉業として語られてきたこの作戦には、実は別の真実がー、というストーリーです。
ジェシカ・チャステイン演じる60年代のレイチェルのシーンがよくデキているので、90年代のレイチェルの存在を忘れるところでした。ですが、ヘレン・ミレンがただ朗読するだけのはずがありません。
あの任務以後、心を病んでイスラエルを離れていたデヴィッドは真実を公表しようとします。が、そのデヴィッドは自殺。上官となったステファンの命令によって再びモサドとしてある任務負うレイチェル、ま、あまりネタバレしては面白さが半減してしまうのでストーリーはこのあたりにしておきましょう。
なんといっても見どころはジェシカ・チャステインですよ。
ジョン・マッデン監督はこの後、2016年の映画『女神の見えざる手』で再びチャステインとタッグを組み、そのクールな魅力を見せつけます。その片鱗が確かに見える本作。工作員として身体を張り、2人の男性の間で揺れ、フォーゲルに憎悪の念を抱くレイチェル。必見です。
で、もうひとつ。ナチス戦犯の外科医フォーゲルのモデルはヨーゼフ・メンゲレです。メンゲレはアウシュビッツ収容所で非人道的な人体実験を繰り返したことから戦犯となりました。映画にもその非道な実験やそれを罪とも思わない老獪さがフォーゲルに投影されています。ちょっと覚悟が必要な描写もあるのでご注意を。
あ、やっぱりヘレン・ミレンのことを忘れてしまってた。もちろんヘレンさんも見どころのひとつの映画『ペイド・バック』お勧めです!