映画『パドルトン』(2019年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『パドルトン』は、
末期がん宣告を受けたのマイケルが隣人のアンディーの協力のもと、安楽死を遂げるストーリーです。家族も恋人もいない中年男性2人。あえて「日常」を続けようとした2人の思いとはー。
キャスト
・マーク・デュプラス(マイケル・トンプソン)
末期がんで余命宣告を受ける中年男性
・レイ・ロマーノ (アンディー・フリーマン)
マイケルと同じアパートに住む中年男性
・クリスティン・ウッズ (医師)
マイケルの主治医
映画『パドルトン』の見どころと感想
アメリカの田舎町に暮らすマイケルは末期がんの宣告を受けます。その場に同席したのはマイケルと同じアパートの2階に住むアンディー。
安楽死を選択したマイケルは、アンディーとともに致死量の薬を求めて車で6時間かかる病院へ。入手した薬を預かろうとするアンディーですがー。
評)「かけがえのない日常」の輝きがたまらなく愛おしい
ちょっと冴えないオジサンが2人、一緒にお気に入りのカンフー映画を見ながらピザを食べ、夜はそれぞれの部屋に帰っていく。休日は「パドルトン」と呼ぶ独自のルールによる壁打ちテニスを楽しむ。
マイケルが末期がんの宣告を受けた後も、この日常が変わることはありません。あえてそうしようとするマイケルの思いと、アンディーの理解が日常の繰り返しの中に描かれています。
薬の購入のために車で出かけるシーンは、ちょっとした事件が起きるロードムービー的な趣向。マイケルの決意を理解しているとはいえ不安でたまらないアンディーと、できるだけ変わりなく過ごそうとするマイケル。立ち寄ったダイナーで第三者を挟むことにより、少しだけ表面化するそれぞれの思い。全編を通して2人の心の機微が繊細に描かれています。
主人公マイケルを演じるのはマーク・デュプラス。兄ジェイとともに2000年代に「マンブルコア」と呼ばれる低予算のインディペンデント映画を製作。
本作はそのデュプラス兄弟が、Netflixと4本の映画を製作する契約を結んだうちの2本目の作品です。(1本目は本作と同じアレックス・レーマン監督でサラ・ポールソンと共演した『ブルージェイ』)
過剰な演出を極力控え、説明的な台詞もない。あるのは他愛のない会話(台詞の多くは主演2人の即興だとも)と自然な表情。それらが映し出す「かけがえのない日常」の輝きがたまらなく愛おしい。
映画『パドルトン』はNetflixで配信中です。