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映画『魂のゆくえ』(2017年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画タイトル:魂のゆくえ
原題:First Reformed
製作年:2017年 アメリカ
監督:ポール・シュレイダー
映画『魂のゆくえ』は、
救いを求めてきたある環境保護活動家の死をきっかけに、信仰に疑問を持ち始める牧師の苦悩を描くヒューマンドラマです。
当時アメコミものに頑なに背を向け渋い作品選びをしていたイーサン・ホーク。その抑えた演技が見どころの1本です。
キャスト
・イーサン・ホーク(エルンスト・トラー)
ファースト・リフォームド教会の牧師
・アマンダ・セイフライド(メアリー・メンサナ)
信者 妊娠中
・セドリック・カイルズ(ジョエル・ジェファーズ)
アバンダント・ライフ教会の牧師
・フィリップ・エッティンガー(マイケル・メンサナ)
メアリーの夫 環境保護活動家
・マイケル・ガストン(エドワード・バルク)
実業家 アバンダント・ライフ教会の支援企業の代表
映画『魂のゆくえ』の見どころと感想
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ニューヨーク州北部の小さな教会ファースト・リフォームドの牧師トラーは、信者の女性メアリーから夫の話を聞いてほしいと頼まれます。
メアリーの夫マイケルは環境活動家。抗議運動で逮捕釈放されたあともなお思想が変わることはなく「このままだと地球が滅亡する」という絶望感にかられています。妻メアリーのお腹の中の子をこんな世界に送り出すことはできないと苦悩するマイケルに対し、トラー自身もまた戦地に送り出して失った息子のことで心の闇が広がっていきます。
そんな中、トラーの教会は250周年を迎えます。イベントの準備で所属する大教会アバンダント・ライフの牧師ジェファーズと話をする機会を得ますが、ジェファーズの拝金主義っぷりに疑問をもつトラー。
そのトラーのもとにメアリーから緊急の連絡が。メアリーの家を訪れたトラーはマイケルが準備している爆発物を発見し、その後マイケルに呼び出された公園でマイケルの自殺体を発見します。
大教会アバンダント・ライフが環境破壊を行う大企業バルク社と繋がっていることを知ったトラーは自らの信仰との迷いの中、ある決意をします。そしてー。
評)信仰、環境保護活動、どこに救いを求めるかー
環境破壊という現実的な問題と信仰の狭間で潰れていく1人の牧師。ただでさえ息子を失い、そのことで妻とも別れ、教会は歴史はあるけれどほとんどお金にはならない状況。しかも胃がんでアル中。ボロボロです。そんなときにカルトまがいの環境保護活動家夫婦に出会い感化されてしまったー、なんて見方は単純すぎるのかもしれませんが、かなりスピリチュアル色の強い映画なので、どこに救いを求めるかで見方も変わってくるのかもしれません。
マイケルやトラーのあの行為は、環境破壊への「抗議」ではなく、命を救えないことへの「贖罪」なのでしょうか。非スピ派の私でもその程度の考えは及ぶのですが、これを理解、共感できるかといえば......。
悩ましい映画です。で、この悩める牧師をイーサン・ホークが熱演。ハリウッド大作に背を向け、アメコミヒーローものをディスっていた当時のイーサンだからこそ、の1本です。