映画『人生の特等席』(2012年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『人生の特等席』は、
野球のベテランスカウト、ガス・ロベルと、疎遠となっていた娘ミッキーが父娘の絆を取り戻していく映画です。
老スカウトを演じるクリント・イーストウッドは、自身の監督ではない作品への出演は19年ぶり。メガホンをとるのは愛弟子であるロバート・ロレンツ監督。古き良き時代、古き良きアメリカ映画の魅力がてんこ盛りの映画です。
キャスト
・クリント・イーストウッド(ガス・ロベル)
大リーグの伝説のスカウトマン 妻を亡くし一人暮らし
・エイミー・アダムス (ミッキー・ロベル)
ガスの一人娘 弁護士として出世街道をひた走っている
・ジャスティン・ティンバーレイク(ジョニー・フラナガン)
元大リーガーで、現在はスカウトマン 将来は実況アナウンサーを目指している スカウト地で出会ったミッキーに惹かれていく
・ジョン・グッドマン(ビート・クライン)
ガスの上司であり、古くからの友人
映画『人生の特等席』の見どころと感想
大リーグの名スカウトとして名をはせてきたガスも、年齢的な衰えを隠せなくなっています。
視力は低下し、歩けばそこらじゅうにぶつかり、オシッコの出もかなり悪い。周囲の目にもその衰えは明らかで、「そろそろ引退をー」と勧められますが頑固なガスは断固拒否!
そんなガスを心配したガスの上司でもある旧友のピートは、疎遠となっている娘ミッキーに「お父さんの様子を見に来てほしい」と連絡を取ります。
弁護士となったミッキーは出世が絡む超多忙な毎日。一度はピートの頼みを断ったものの老父のことが気がかりなミッキーは、父、ガスのスカウトに同行することを決意します。
かつてあることがきっかけで娘を手放した父と「父に捨てられた」と思っている娘。
ふたりのスカウトの旅は父娘の関係に大きな変化をもたらします。
評)「古き良き」を正々堂々と描く清々しさ
「娘、野球詳しすぎー」、というツッコミはさておき、「父と娘の関係」がこれでもかっ!というくらいオーソドックスに描かれています。
愛情はあるのに不器用で素直に愛せない父。
この映画を観ていると、私自身、親が好きなことを好きになり一緒に楽しもうとしていた子供時代を思い出します。ちょっと難しい本を読んだり、野球を見たり、あまり子供らしい子供ではなかった私ですが、親に誉められたり認められたりすることを求めていたのでしょう。ミッキーもそんな気持ちだったのかもしれません。
「超アナログなスカウト手法のロベル父娘」VS「データ重視の球団内のライバルスカウトマン」
「デブで傲慢なスカウト候補生」VS「野球ができる環境にはない貧しい若者」
というわかりやすい構図もイイ。
そして、その対立の結果が「そうであってほしい」「そうあるべきでしょ」という期待を1ミリも裏切りません! こんなにドストレートでいいんでしょうか? いや、イイんです。人々の心の中にある古き良き時代(の物語)を正々堂々と見せつけてやる!という気概さえ感じます。
理不尽なことや不条理なことも受け入れなければ生きていけない今の世の中ですが、自分自身の根底には、この「古き良き」が根付いていることにホッとさせられた1本です。
心がヤサグレている方、ヤサグレかかっている方には確実に効く1本です。
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