映画『スプリット』(2017年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『スプリット』は、
誘拐された女子高生と23の人格を持つ誘拐犯をめぐるホラーサスペンスです。24人目の人格”ビースト”がなぜ生まれたのか。
『アンブレイカブル』とともに『ミスター・ガラス』に続く世界。M・ナイト・シャマラン監督、会心の1本です。
キャスト
・ジェームズ・マカヴォイ(ケビン・ウェンデル・クラム)
解離性同一障害(多重人格)
・アニャ・テイラー=ジョイ(ケイシー・クック)
女子高生 学校では孤立している
・ベティ・バックリー(カレン・フレッチャー)
精神科医
・ヘイリー・ルー・リチャードソン(クレア・ブノワ)
ケイシーのクラスメイト
・ジェシカ・スーラ(マルシア)
ケイシーのクラスメイト
映画『スプリット』の見どころと感想
学校では浮いた存在の女子高生のケイシー。ある日クラスメイトのクレア、マルシアとともに車に乗り込んできた男に拉致、監禁されてしまいます。
監禁場所に現れた男性。が、さっきとは様子が違う”別の人物”になっていました。その後もケイシーらの前に現れるたびに違う人物にー。
男が多重人格者ではないかと考えたケイシーは、ある人格と親しくなることで脱出を試みます。しかしー。
評)前日譚としても、単体作品としても見どころ充分の快作
『アンブレイカブル』(2000年)同様、先に後日譚の『ミスター・ガラス』(2019年)を見たうえでの感想です。
『ミスター・ガラス』での超人”ビースト”がなぜ生まれたのか。そしてケヴィンに深い理解を示す女子高生ケイシーの過去もこの映画に描かれています。
その後日譚があってもなくても、監禁ものとしてのスリル、しかも相手が多重人格者という得体の知れなさ、アニャ・テイラー=ジョイ演じるケイシーの訳あり感など、この映画単体としても見どころは充分。監禁という閉鎖空間に多重人格者ケヴィンの謎を解く精神科医フレッチャーを違和感なく差し込む展開も効いています。
そしてなによりジェームズ・マカヴォイの多重人格の演じ分けが見事。存在感のない主人格のケヴィンほか、誘拐を首謀するデニス、社交的なバリー、女性人格のパトリシア、子ども人格のヘドヴィグ、そして24番目のビースト。
このビーストが爆誕するシーンはシャイニング的な衝撃、というか、この”人格”をキーにした世界観はキューブリックの『シャイニング』の影響をたっぷり受けたものでしょう。
そして最後に登場するブルース・ウィリス。『アンブレイカブル』と、その後の『ミスター・ガラス』につながる仕掛けにお得感あり、です。
映画『ヴィレッジ』(2004年)以降、低迷していたシャマラン監督の会心のデキと言われるのも納得の『スプリット』 ぜひ。