映画『パトリオット・デイ』(2016年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『パトリオット・デイ』は、
2013年に起きたボストンマラソンを標的にした爆弾テロ事件を映画化したものです。
主人公の警官と司令部、テロの犠牲者、実行犯、さらに事件に巻き込まれる人々などを群像劇として描いていきます。事件発生から解決までの102時間。圧倒的な緊張感で描く事件の裏側とはー。
キャスト
・マーク・ウォールバーグ(トミー・サンダース )
ボストン市警察 巡査部長
・ケヴィン・ベーコン(リック・デローリエ)
FBI特別捜査官
・ジョン・グッドマン(エド・デイヴィス)
ボストン市警察 警視総監
・J・K・シモンズ(ジェフ・ピュジリーズ)
ウォータータウン警察 巡査部長
・ミシェル・モナハン(キャロル・サンダース)
トミーの妻
・メリッサ・ブノワ(キャサリン・ラッセル)
テロ実行犯タメルランの妻
映画『パトリオット・デイ』の見どころと感想
2013年4月15日。独立戦争緒戦の勝利を記念した「パトリオット・デイ(愛国者の日)」に行われたボストンマラソンで爆弾テロが発生。この日、会場の警備にあたっていたトミー巡査は、間近で事件に遭遇。凄惨な現場で救護活動を行います。
FBI捜査官のリックはテロ事件と断定し捜査を開始。トミーの証言をもとに2人の男が容疑者として浮上しますが、容疑者の公表に慎重なリック。その一方でメディアはまったく別人を犯人として報道し始め、ボストン市中は混乱に陥ります。
その頃、テロの実行犯の兄弟は拳銃を奪おうと警官を襲撃します。が、拳銃を奪うことはできず逃走。その途中で中国人留学生を車ごと拉致しー。
評)「人」に焦点をあて、事件とその社会背景を描く群像劇
2013年の事件なので確かに記憶しているのですが、犯人がどうやって捕まったのかについては覚えていないというかー、正直、知りませんでした。
冒頭の爆弾テロのシーンはホントに凄惨で、このテロで足を失った夫婦や、犠牲になった8歳の子どもをクローズアップし、テロの現実を容赦なく見せつけます。
救護活動と並行して開始される捜査。この指揮をとるリック捜査官(ケヴィン・ベーコン)がカッコイイ。完全なフィクションものであればここでやり手のFBIと実直な地元市警がバッチバチに対立するのでしょうが、この映画ではそこをサラリと警視総監(ジョン・グッドマン)の一喝でまとめるところもイイ。
映画全体が「正義が悪を追い詰める」という一元的な見せ方ではなく群像劇として作られているところも見どころです。テロ実行犯である若い兄弟には彼らなりの道理が。「TVで言っていることはウソばかり。9.11もアメリカ政府がイスラム社会を陥れるための自演だ」と、いわゆる陰謀論を口にする兄弟に、コロナ禍の現在の社会不安を見るよう。
さらに序盤から「この人は何?」 と思わせた不幸にも事件に巻き込まれる中国人男性。最後までイスラム教の妻として証言を拒否するテロリストのアメリカ人妻。外出禁止令下のボストンで銃撃戦に見舞われた住民たち。 そして、けしてヒーローではない警官トミー。ラストは映画のモデルになった人たちも登場します。
「人」に焦点をあて、事件とその社会背景を描き出す力作『パトリオット・デイ』おすすめです。