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映画『読書する女』(1988年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:読書する女
原題:La Lectrice
製作年:1988年 フランス
監督:ミシェル・ドヴィル

映画『読書する女』は、

読書好きの女性が出張朗読を描く本の世界にのめり込みー、というコメディです。主人公とシンクロする世界のなか、顧客はいずれも劣らぬ曲者揃い。

1989年の公開当時、おしゃれで知的な映画として話題になった1本。30数年越しに鑑賞です。

キャスト

・ミュウ=ミュウ(コンスタンス/マリー)
読書好きの女性

・クリチャン・リュッシェ(ジャン)
コンスタンスの夫

・マリア・カザレス
デュメニル将軍の未亡人 自称100歳

・パトリック・シェネ
離婚して1年が経つ会社社長

・レジス・ロワイエ(エリック)
下半身不随の少年

・ブリジット・カティヨン
エリックの母

・ピエール・デュクス
老判事

映画『読書する女』の見どころと感想

読書好きで空想家のコンスタンス。今読んでいる『読書する女』の世界に感化され、自分も主人公のマリーのように本を読んで聴かせる仕事をしたいと考えるようになります。

マリーがモーパッサンの「手」を読み聴かせたところ、刺激が強すぎて失神してしまう半身不随の少年エリック、トルストイの「戦争と平和」がお気に入りの自称100歳のデュメニル将軍の未亡人、デュラスの「愛人」ですっかり欲情してしまう中年会社社長。「不思議な国のアリス」が大好きな超いたずらっ子コラリーと一緒に遊園地で本を読もうとして誘拐犯を間違われるなど、曲者揃いの顧客によってマリーは様々な騒動に巻き込まれます。

極めつけは老判事。マリーに読んでほしいとリクエストするのはマルキ・ド・サドの「ソドムの百二十日」。

そんな『読書する女』を読み終えたコンスタンスはー。

評)「本を読む」ことの多重感覚に浸るオトナの映画

人に本を読んで聴かせるという行為がこんなにもエロティックとは!

ベッドで本を読むコンスタンスと、その本の世界のマリー。露骨に誘っているわけでもないのに、マリーが読む本の世界と、その本を読む声にちょっとおかしくなってしまうお客たち。おかしくなるのは男性だけではないようで、将軍の未亡人は”赤”の世界にどっぷりで、少女も本の世界から抜け出してきたような存在。

ん? いや、これは本の世界なんですよ。マリーが読み聞かせる本の世界と読み手であるマリーの世界、そのマリーが主人公である本を読むコンスタンスの世界。隔たることなくつながっていくそれらの世界と、さらにこの映画を見ている自分の世界が交わっていくような感覚が面白いじゃありませんか。

1988年の公開当時はまだお子様だった私。『読書する女』というタイトル、フランス映画、そしてポスターやパケ写のビジュアル。イケない雰囲気が漂うこの映画を見るまでに30数年が経過してしまいました。が、今だったんですよ、私のこの映画の見ドキは。

本を読むということは、単に「説明」や「解説」されたものを受け取っているのではなく、自分の「想像」で補ったり脚色したり変化させている主体的な行為だとあらためて思わされました。

コンスタンスとマリーの二役を演じるミュウ・ミュウ。ショートカットでボーイッシュな中にもフランス映画らしい官能を漂わせる魅力的な風貌です。が、思ったよりもとうがたってる気もしたのですが(スイマセン……)、それは「若さ信仰」に毒されている私側の問題でしょう。

個性的な顧客の面々も楽しい。デカパン医師のインパクト!

大人になってよかったよ、こんな映画が楽しめるのだから。映画『読書する女』は大人のあなたにおすすめです。ぜひ。

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